メンタルクリニックを開業する精神科医6。

メンタルクリニックの開業を決心した自分。
場所は「新宿」「池袋」「上野」の3つ。
果たして僕たちが見たモノは!?

  

こんばんは。ゆうきゆうです。

最近、こんなお店を見かけました。

「これで売れなきゃこの店は終わり」

 

 

………。

売れてませんでした。

 

終わったのでしょうか。大丈夫でしょうか。

 

「これで患者さんが来なきゃこのクリニックは終わり」

とかにならないように頑張りたいと思いました。

  

それはそれとして、クリニックの話の続編です。

ある週の日曜日。

僕とマヤ先生とリオ先生は、新宿駅南口の改札に集合しました。

マヤ先生は待ち合わせに30分遅れました。
いつものことでした。

 

マヤ「さぁっ! 物件探しの旅に出るわよー!」

リオ「おうっ!」

ユウ「は、はい」

 

おそらく都内最大、いえもしかして、ある意味日本で最大の駅の一つとも言える、新宿。

2006年のデータですが、一日のJR東日本の利用者数は、

1 新宿 757,013
2 池袋 570,650
3 渋谷 430,675
4 横浜 391,185
5 東京 382,242  (参照元…こちら

と、ある意味ダントツの駅です。

混雑具合もハンパではありません。

 

僕たちは、とにかく駅の近くを離れて、ほんの少し歩きました。

マヤ「さぁ、どの物件にしましょうね」

ユウ「は、はい」

リオ「美人が多い物件がいいな」

 

そんな物件、あったら僕も入りたい。

 

様々な不安に包まれつつ、駅から1分ほど歩いたときです。 

僕たちは、最初のカドに到着しました。

 

 

マヤ「………」

ユウ「………」

 

マヤ「ここがいい」

 

即決。

  

マヤ「だって新宿駅、徒歩1分よ!? 最強の物件じゃない!?」

 

ユウ「………」

マヤ「なに?」

ユウ「あの、前も思ったのですが、先生、徒歩1分、好きですね

 

マヤ「だっていつもナンバーワンでいたいから」

 

意味が分かりませんでしたが、強制的に納得させられそうになる理由でした。

 

ユウ「い、いや、でも、ここの物件が空いてるとは限りませんよね」

マヤ「………」

ユウ「空いてなかったら…」

マヤ先生は、その言葉にビルの看板を指さしました。

 

マヤ「テナント募集って書いてあるわよ」

ユウ「………」

 

マヤ「決まりね」

 

だから、即決ですか。

 

ユウ「い、いや、でも、ちゃんと内見(ないけん)しないと…」

マヤ「………」

ユウ「………」

 

マヤ「内診?」

 

絶対に違います。

 

リオ「確かに内診しないで関係するのは恐いな」

 

どこの世界の常識ですか。

 

リオ「まぁ、ここで考えていてもしょうがないじゃないか。とにかく電話してみよう」

ユウ「は、はい…」

 

とにかく僕は、その「テナント募集」の看板に書いてある電話番号に電話してみました。

 

呼び出し音が1回なった直後に、少し元気のない声が出ました。

 

相手「はい…。○○不動産です」

 

ユウ「あ、あの、看板見てお電話しているんですけど」

相手「どちらの看板でしょうか?」

 

その言葉に、僕は周りを見渡します。

 

リオ「意外に美人が多かった通りの物件の看板だ」

 

僕はその言葉を華麗にスルーしつつ、言葉を探します。

 

ユウ「あ、あの、新宿駅、徒歩1分の…」

マヤ「ワケの分からないピンクのプリンの物件」

たぶん、テ○プスタッフの看板のことを言っているんだと思いました。

 

ユウ「………ワケの分からないピンクのプリンの物件です」

リオ「最近の、何でもいいからキャラクタを作ればいいみたいな発想はちょっとダメだよな」

マヤ「私もそう思うわ」

ユウ「………」

どうでもいい会話が繰り広げられる中、電話の向こうで声がしました。

 

相手「ああ! 分かりました! ○○ビルですね!」

 

あぁ、それで分かったんだ。

 

とにかく結果オーライだと思いつつも、安心してられません。

ユウ「こちら、まだ空いてますか?」

相手「ええ。空いてますよ」

ここで、聞かなければいけない質問があります。

 

ユウ「で、あの、家賃なんですけど…」

 

あなたは、家賃の相場をご存じでしょうか。

都内でしたら、だいたい坪(3.3平方メートル)単位で、1万円~1万5000円くらいです。
秋葉原の物件などで不動産会社を見て発見した相場です。
東京駅とか、かなり高い場所で、坪で2万円くらいです。

 

ユウ「坪あたりで、どのくらいになりますか?」

相手「えっとですね」 

 

1万5000円くらいだろうか。
それともやはり、2万円くらいなんだろうか。

 

僕はドキドキしながら、言葉を待ちました。

 

 

相手「坪単位で、5万円です」

 

本当にありがとうございました。

 

相手「こちらの物件は20坪ですので…」

 

それ以上の言葉はほとんど耳に入らず、僕はにこやかに言いました。

 

ユウ「分かりました。また検討させていただきます」

相手「あ、はい。ぜひご検討ください」

 

相手もたぶんこういうやりとりに慣れているのか、反応も穏やかでした。

電話を切って後ろを見ると、先生たちが言いました。

 

マヤ「内診は?」

リオ「診察は?」

 

目をキラキラさせながら問いかける先生たちを見ながら、

エサを待つヒナ鳥を前にして、
エサを取って来られなかった母鳥の気持ちってこんなのなのかな、と思いました。

 

事情を話すと、マヤ先生は、静かに言いました。

 

マヤ「いい夜の仕事、紹介しましょうか?」

 

ここに決める前提で話を進めないでください。

 

 

リオ「まぁ、新宿の家賃は、全体的に激しいからな…」

ユウ「………」

リオ「自分も、店をオープンしようとしたことがあるから、分かるんだけどな」

 

どんな店ですか。

ていうか、分かってるんなら最初から言ってください。

 

 

僕は切ない気持ちになりながら、新宿駅をやむを得ない理由でターゲットから外したのでした。早かったです。

出席番号1番 新宿駅 リタイヤ
残り駅数  2駅

 

直後、マヤ先生は言いました。

マヤ「せっかく新宿に来たんだし、ちょっとした冒険、しない?」

果たしてその後、マヤ・ユウ・リオが向かった先とは!?
次回更新をお待ち下さい。

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丁寧語、直しました。
ご指摘くださったみなさま、本当にありがとうございました。ぬるぬるな雰囲気で頑張ります。

サイトの時点で微妙に終着点が見えてる話ではあるんですが、なんかまぁ、桃太郎みたいな童話レベルでお楽しみいただければ幸いです。
みなさま今後ともよろしくお願いいたします。