メンタルクリニックを開業する精神科医4。

マヤ「秋葉原で、スゴイ物件、見つけたの!」

僕はメンタルクリニックの開業場所を見つけることができるのか!?

 

あなたは、秋葉原が南北2つのエリアに分かれていることをご存じでしょうか。

まず北サイドが、たぶんもっとも有名で、もっとも華やかな場所。
メイド喫茶やアニメショップなど、秋葉原を代表するような建物が並んでいます。

さらに秋葉原UDXをはじめ、多くのビルが建っています。

山手線などに乗って「わ、秋葉原、すごく発展したなぁ」と思うのは、たいていがこちらのエリアです。

 

そしてもう一つが、南サイド。

こちらは昔ながらの電気街。
パソコンのパーツや、電機器具などが売っている場所です。

 

………。

 

マヤ「秋葉原で、スゴイ物件、見つけたの!」

 

この物件は、南サイドにありました。

 

 

マヤ「とにかくスゴイ物件らしいのよ! 見るだけ見てみて!」

ユウ「ホ、ホントですか!?」

 

その言葉に誘われたのが、僕の甘さでした。

次の日曜、僕とマヤ先生、さらに不動産屋さんは、秋葉原の駅に立っていました。

南側の出口に降り立つと、かなり古いビルが立ち並んでいました。

 

マヤ「………」

ユウ「………」

思わず静かになる僕たちに、不動産屋さんは言いました。

不動産屋「何と! 駅から徒歩1分なんですよ」

 

うん。

普通なら1分って嬉しいんだけど、なんていうかこの場合は、もうちょっと離れてほしかった。

 

そんなことを思いながら、僕たちは不動産屋さんについて行きます。

ユウ「………」

マヤ「いやいや! でもこんなところにほど、掘り出しモノがあるのよ!」

ユウ「は、はい…」

マヤ先生に根拠のない励ましを頂きながら、僕たちは歩きます。

不動産屋「あ、こちらです」

マヤ「………」

ユウ「………」

 

そのビルは、全身で「古さ」を主張していました。

案の定でした。

掘り出しモノというより、今この瞬間、掘り出されたモノみたいな感じでした。

 

マヤ「………」

ユウ「………」

マヤ「え、バイオハザードの舞台?」

心から同感でした。

 

マヤ「秋葉原だけに、バイオハザードのキャンペーン中?」

本当にそんな気がしました。

 

不動産屋「さ、どうぞ中に」

すごく入りたくない。

 

マヤ「バイオハザードとか、ホラーゲームでよく思うんだけど」

ユウ「はい?」

マヤ「どうして主人公たちって、わざわざ怪しい洋館に入るのかしらね」

不動産屋「どうぞー?」

ユウ「………」

マヤ「あそこで入らなきゃ、何も起こらないで済むのに」

不動産屋「お入りくださいー?」

ユウ「………」

マヤ「ね、何でだと思う?」

 

 

不動産屋さんの空気に逆らえなかったからじゃないですか。

僕は心からそんなことを思いながら、中に入りました。

中は、外から想像したものを、さらに悪化させたような感じでした。

 

不動産屋さんも、僕たちの雰囲気を察したのでしょうか。

フォローするかのように言いました。

不動産屋「ほら、中は意外と」

マヤ「………」

ユウ「………」

不動産屋「歩けますよね」

 

フォローになってない。

ていうかそのレベルで合格でしょうか。

小学生のテストの「名前を書けてたから30点」に近い部分があると思いました。

不動産屋「トイレはこちらです」

トイレは和式でした。

マヤ「………」

ユウ「………」

不動産屋「ちなみにオーナーが言ってたんですけど」

マヤ「えぇ」

 

不動産屋「ウォシュレットをつけてもいいそうです」

 

ウォシュレットよりも、先につけるべきものが色々とあると思いました。

 

ちなみにそのビル、他の階の入居者も、ほとんどいませんでした。

マヤ「良かったわね」

ユウ「え?」

マヤ「ほとんど占有できるじゃない」

 

占有したくない。

ていうか逆に、少しでも仲間が欲しい。

 

マヤ「ここって、心霊スポットっぽくない?」

ユウ「………」

 

マヤ「心療内科じゃなくて、心霊内科として開業したら?」

 

言うと思いました。 

 

不動産屋「この物件なんですけど、問い合わせは非常に多いんです」

ユウ「はい」

不動産屋「ただみなさん、見た瞬間、やめるんです」

みんな、同じこと考えるんだ。

 

不動産屋「あと、ちなみにこのビルなんですが」

もう、何を言われても驚かない。

僕はそう思いました。

すると不動産屋さんは、言いました。

 
 

不動産屋「来年、取り壊すんです」

 

だったら最初から紹介するな。

 

本気で心からそうツッコミました。

 

 

そのあと。

秋葉原UDXの中で、僕とマヤ先生は話しました。

 

マヤ「秋葉原の駅近くで残っている物件って、ああいうのしか、ないのかしらね…」

ユウ「はい…」

マヤ「ていうか、秋葉原が好きって言ってたけど、他には好きな駅って、ないの?」

ユウ「僕の、他に好きな駅………」

 

僕の、好きな駅。

すると、三択しかない。

 

果たしてゆうきゆうは開業できるのか!?
さらに次回更新をお待ち下さい。

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