アスカ先生と後輩ドクターのドラマ。

病理医のアスカ先生から聞いた、奇跡のドクターの話です。
二話まとめてお送りいたします。
 

最近、病理医のアスカ先生と、こんな話をしました。
アスカ「前に話した、後輩くんのこと、覚えてる?」

ユウ「あぁ…。よくニンテンドーDSをしてる後輩の研修医さんですよね?」

アスカ「その彼なんだけど、最近は『モバゲー』にハマってるみたい」

ユウ「………」

アスカ「ほら、ケータイで見知らぬ人と対戦できるアレ」

ユウ「あぁ、ありますね」

アスカ「それでね、その研修医くん、喜びながら、私にこう言うのよ」

ユウ「………」

アスカ「『コンピュータ相手から、人間相手に進化したんですよ!』」
ユウ「………」
アスカ「進化してないから! ある意味、退化だから!」
心から同感です。
アスカ「どんどん抜けられない方向にハマってるだけだから!」
本当に同感です。
アスカ「それでね、見知らぬ女の子とかと、対戦してるみたいなんだけど」

ユウ「はぁ…。女の子と…」

アスカ「で、モバゲーってチャット機能もあって、対戦しながら会話もできる
のよ」

ユウ「へぇ…」

アスカ「でも彼って欲求がたまってるみたいで、微妙にシモネタ話すらしいの」

ユウ「…切ないほどに最悪ですね…」

アスカ「ほら、人って相手の顔が見えないと、本性出したりするでしょ?」

ユウ「あぁ…。仮面効果って言うんですよね…」

アスカ「で、彼が言うには、
   『やっぱりネットの世界って、自由でいいですね!』だって」

ユウ「………」

アスカ「それ、自由って言わないから! あなたの自由は相手の不自由だから!

心底、同感です。
アスカ「それで、さすがにセクハラ発言が多いと、相手のコも、ログアウトし
ちゃうみたいなのよ」

ユウ「すごくよく分かります」

アスカ「でね、ここから重要なんだけど、モバゲーって、ゲームで勝つほど、
ランクが上がるの」

ユウ「へぇ…」

アスカ「で、相手がログアウトした場合、『降参』ってコトになるんだって」

ユウ「………え、とすると………」

アスカ「『僕、ランク上がりまくりなんですよー!』」
 

あぁ、やっぱり。
アスカ「上がってるのは、セクハラのランクだから! 人間としてのランクは、
下がりまくりだから!」
本当にものすごく同感だと思いました。
 

 

そして、さらに後日です。

アスカ「その後輩くんに、さらに続きの話があるんだけど、聞きたい?」
アスカ先生の言葉に、僕は即答しました。

ユウ「教えてください」

アスカ「彼、以前に、お手伝いで老人内科に行ったのよ」

ユウ「はい」

アスカ「それで、『彼、うまくやってるかなー』って思って、ちょっと彼のい
た病棟に行ってみたのよ」

ユウ「…はい」

アスカ「そしたら、彼の担当した患者さんのカルテに、こう書いてあったの」

ユウ「…何ですか?」
 
アスカ「『○月×日 食事摂取を拒否しはじめる。』」
 
ユウ「…あぁ、はい。それで? 点滴でもしたんですか?」

アスカ「甘いわ。そのあと、こう書いてあったの」

ユウ「………」
アスカ「『しかし大好物である「せんべい」を投与したところ、奇跡的に回復
した。』」
ユウ「………」

アスカ「ちょっと一瞬、意味が分からなかったから」

ユウ「…はい」

アスカ「私たちのいるここはどこ? みたいに、意識が不安定になったから」

同感です。

アスカ「何だか、ツッコミどころが多すぎて、どこからツッこんでいいのか、
分からなかったから」

すごく同感です。

アスカ「最初から行くんだけど」

ユウ「はい」

アスカ「そもそも『大好物である「せんべい」』ってナニ!? この患者さん
の好みのお菓子の名前が、なぜカルテに出てくるの!? それもカギカッコで
強調されてまで!」

おそらく、よっぽど伝えたかったんだと思います。せんべいだと。

アスカ「さらに『投与した』って、せんべい、薬じゃないから! せんべい渡
すの、そんなカッコ良く言い換えても意味ないから!」

心から同感です。

アスカ「それに『奇跡的に回復した』って」

ユウ「………」

アスカ「『奇跡的に』とか、医者が書いちゃダメだから! 自分で奇跡だと認
めちゃダメだから! 医療ドラマでナレーションが言うならいいけど、治療者
が書き残しちゃダメだから!」

激しく心底、同感です。

アスカ「それに、奇跡の医療の内容が『せんべい』だから!」

ものすごくディープかつデンジャラスに、同感です。
アスカ「まぁ、一連のことを和訳するなら、

『ご飯なかなか食べなくなった人がいたから、おせんべいをあげたら、
食べて良かった』

ということだと思うんだけど」

名訳、ありがとうございました。
 

アスカ「………」

ユウ「………」

アスカ「一番の奇跡は、彼の存在だと思うの」
 
言っちゃった。

心から切なくなりつつも、後輩くんの元気な人生を願ってやみません。
みなさま今後ともよろしくお願いいたします。

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