遺書で判明する自信。~ロスの調査
アメリカの心理学者であるロスは、女子高生を対象にして、こんな実験を行いました。
内容は、「ここに、本物の遺書と、偽物の遺書があります。どれが本物で、どれが偽物なのか当ててください」というもの。
しかし。
この実験には、ワナが隠されていたのです。
こんばんは。ゆうきゆうです。
今夜もセクシー心理学から、こんな話をお届けします。
さて、さきほどの実験。
実は遺書は、すべて適当に作られたもの。
すなわち女子高生は、まったく意味のない判断をさせられたわけです。
無駄な判断を必死にしている女子高生が少し萌えます。
そして女子高生たちが当てたあとで、ランダムにこのような結果を知らせました。
A「あなたは25回中、24回当てましたよ」
B「あなたは25回中、10回しか当たりませんでしたよ」
言うまでもありませんが、これ、完全なウソです。
しかしAの人は「え、私、スゴくない!?」と大喜び。
逆にBの人は、ちょっと自信を失います。
さて、ここからがポイント。
そのあと、実験者は、
「実はさっきの結果、すべてウソだったんです」と告げました。
Aの女子高生は微妙にぬか喜びですし、Bの人は「なぁんだ…」と、ちょっと安心しました。
そしてその上で、
「もし、もう一度同じことをして、今度は本当に本物・偽物の区別をマジにつけるとしたら、そのときはどれだけ正解すると思いますか?」
と聞きました。
すると。
Aの女子高生は、『67%は当てられる』と答えました。
しかしBの女子高生は、『52%しか当てられないかも』と答えたのです。
すなわち。
人間は、『一度作られた自信や不安は、なかなか変わらない』ということです。
そう。『たとえウソだったと修正されたとしても』です。
ぜんぜん関係ないですが、「女子高生」の連発に実験内容が頭に入らなかったあなたは、男として正常です。僕も同様です。
◆ 勝ってるときは、気をつけよう。
ここであなたは「賭博サギ」というものをご存じでしょうか。
ある人を引き込んで、「ギャンブルをしよう」と持ちかける。
しかしその場にいる全員がグル。
彼らはイカサマをして、最初はカモに勝たせてあげます。
そして、その上で大きく賭けさせて、有り金を巻き上げる…というものです。
海外でよくあるサギです。
みんなでそこまでするのなら、もう最初から強奪しちゃえよ、といつも思うんですが、やはり目立つ犯罪は避けたいのでしょうか。
とはいえこれ、この実験から考えると、非常に納得できるかもしれません。
最初に勝つことで「自分はデキる!?」と自信を持ち、そのまま突っ走ってしまうわけですね。
パチンコなどで、最初に勝ってしまった人ほどハマりこんでしまうのにも似ているかもしれません。
◆ だって、受かったんだもの。
そういえば最近、「教員採用試験で、結果に関係なく、コネで合格が決まっていた」という事件がありました。
それが判明したあと、実は成績が悪かったのに、コネで合格した人が取り消しになりました。
それにたいして彼らは「納得できない!」とコメントしていましたが、これも今の考えでいくと、何だかその気持ち分かります。
たとえ「試験結果はウソだった」「本当はできなかった」と言われても、なかなかその自信は消せないわけです。
また他にも、新興宗教の教祖が逮捕されたりしたとします。
しかしこのとき、信者がすべて離れていくわけではありません。
「教祖がそんなことをするわけがない!」
「あの人のことを、私は信じている…!」
という人だってたくさんいるでしょう。
芸能人だってアーティストだって同じ。何かのスキャンダルでファンが少し減ることはあっても、「完全に消える」ことはありません。
ある人によって作られた好意や自信などの感情は、どこかで「ウソでした」と言われたとしても、そう簡単にひっくり返ることはないのです。
◆ 一度でも、プラスになると…?
この事実、個人的にすごく面白いと思うのですが、いかがでしょうか。
すなわち「人生って、意外にオセロではない」のです。
白をたくさん積み上げてきても、最後にちょっとはさまれただけで、すべてが黒に変わることはないのです。
いえ「だから逆転できないよ」というつもりはありません。
ただ大切なのは、「プラスを積み上げていたのに、それが突然、完全にひっくり返ることはない」ということ。
たとえば、大好きな恋人が、浮気をしたことが発覚したとします。
もしくは何か、重大なウソをついていたとしましょう。
この瞬間、すべての気持ちが冷めるかというと、それは違うはず。
たくさんの幸せな積み重ねは、心の奥に、しっかりと刻まれています。
それはさきほどの実験の「あなたは優れている」という気持ちと一緒。
あとからたとえネガティブなできごとが起こっても、その幸せな記憶が、すべて消えてしまうわけではないのです。
もし「浮気が発覚したので別れを決意した」というのなら、それはほとんど「最後のひと押し」。
そこまでにマイナスを積み重ねてきたからこそ、起こった事実です。
もちろん「かわいさ余って憎さ百倍」ということもあるかもしれません。
ただそれは、「たくさんの白の上に、黒が一枚重なった」だけの状態。
プラスの気持ちが捨てられないからこそ、表面だけマイナスに振る舞っているのです。
◆ ちょっと応用。
ですので、誰かに自信を付けさせたいと思うのなら、方法はシンプル。
たとえ演技でもいいので、何回も「自分は君のことを、いいと思う」と言ってあげることです。
人がキャバクラやホストクラブに通い続けるのも、それが原因。
誰かに「あなたってステキ」と言われたら、あとから「仕事だったのでは?」「作戦なのでは?」と考えたとしても、容易には修正されません。嬉しさと自信はずっと残るのです。
演技でもわざとらしくても、とにかく「プラスを味あわせる」ことが大切です。
覚えておいてくださいね。
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◆ 今回のまとめ。
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○ 最初に自信や好意を与えられた場合、あとからそれが全否定されても、その気持ちは簡単には消えない。
ですので。
あなたが誰かに感じた好意や、感謝の気持ちは、ためらわずに告げてあげればいいんです。
そのあとに、誰に何を言われても。
あなたが見損なわれてしまうことがあったとしても。
どんなできごとが起こっても。
今あなたの伝えた気持ちは、相手の中で、必ず残り続けるんですよ。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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