あなたが評価されない、たった一つの理由。「嚢中の錐」

さてあなたは、「嚢中の錐」という言葉をご存じでしょうか。
読みは「のうちゅうのきり」です。

ひらがなでも漢字でも同じくらい分かりにくい言葉だと思うんですが。

今夜はこの言葉の解説から、あなたの毎日で少し役立つ話をお届けします。
 

あらためましてこんばんは。ゆうきゆうです。

さて今夜も、メルマガ「セクシー心理学」から、こんな話を。

 

嚢中の錐。

まず「嚢(のう)」というのは、袋のことです。

「錐(きり)」は、大工道具でよくある「キリ」です。棒の先にとがったものがついている、アレです。

すなわち、「嚢中の錐」とは、「袋の中に、キリが入ってるよ」という状態。キリ in the フクロとなります。英語にする意味はナッシングですが。

ではこれ、どういう意味なのでしょうか?

実はこの由来となる話があります。

昔、中国の趙(ちょう)という国に、「平原君」という人物がいました。

読みは「へいげんくん」です。すべて含めて人の名前です。

日本のお友達の「平原(ひらはら)くん」とかではありませんのでご注意下さい。

さて彼は、数千人以上の有能な人々を、食客(しょっかく)として招いていました。

食客というのは、ひと言で言うと、居候です。
ご飯をタダで食べさせてあげ、いさせてあげる、という状態です。
そのかわりに何かあったらその人の知恵を借りるワケですが、しかしそれが数千人。スゴい規模です。

さてその趙の国の都市が、秦という国に攻められました。

そこで趙の国王は、楚の国に救援を出してもらおうとして、平原君を使いに出しました。

そのため平原君は、その食客たちの中から、自分のお供を20人連れていくことにしました。
19人まではスンナリ決まりましたが、ラスト一人が決まりません。

そのときです。
食客の中にいた「毛遂(もうすい)」という人物が言いました。

「あの、私を連れて行ってくれませんか?」

すると平原君は、言いました。

「あなたは私の食客になってから、どれくらいですか?」

毛遂は答えました。

「もう3年になります」

ここで平原君は、言ったのです。

「優れた人物というのは、鋭いキリのようなものです。鋭いキリは、たとえフクロの中にしまっておいたとしても、すぐにフクロを突き破って、先っちょが出てきて見えてしまうものです。

これと同じで、優れた人物というのは、どんな場所にいても、何らかの鋭さが外に見えてくるもの。

しかしこの3年間、私はあなたが素晴らしいというウワサ一つ、聞いたことはありません。

そのためあなたを連れて行くことはできません」

まぁ、結構ヒドいこと、言ってるんですけども。
「嚢中の錐」という知的な言葉で包みつつ、ひと言で言うと、

「え、キミ、評判ゼロでしょ?」

と言ってるわけです。

しかしまぁ、それでも何か、納得できる部分はありませんでしょうか。

これこそが「嚢中の錐」という故事です。

すなわち嚢中の錐とは、

「優れた人物は、どんな場所にいても、どんな状況になっても、その鋭さが周囲に見えてくるものだ」

という意味になります。

さて、この話には続きがあります。

こう言われた毛遂は、言い返しました。

「いえ、だからこそ私は今日、嚢中に入りたいのです! もし私がもっと早く嚢中に入っていたら、キリの先端だけでなく、棒の部分まで突き出ていたはずです!」

すると平原君。

「………ま、まぁ、そこまで言うのなら………」

と、毛遂を連れて行きました。

そうするとビックリ。

楚の国での交渉で、毛遂は大活躍。
最初はイヤがっていた国王にたいして熱弁をふるい、ついに援軍の約束を取り付けたのです。

言ってみれば、この毛遂の場合、

「3年間何もなかったけど、今回の行動まで含めて広く考えると、フクロからキリが突き出てきた」

と言うことができます。

あえて「自分がやります!」と申し出たことも含めて、彼には行動力があり、やはりキリだった、と考えてもいいかもしれません。

いずれにしても、

「優れた人物は、どんな場所にいても、どんな状況になっても、その鋭さが現れてくるもの」。

これ、結構色々と学ぶところがあると思うのですが、いかがでしょうか。

◆ フクロのせいでは、ありません。

大体において、うまく行っていない人というのは、「責任転嫁」がうまいものです。

「上司が止めるから」
「立場がまだヒラだから」
「みんながジャマをするから」
「表現の規制があって、言いたいことが言えないから」などなど…。

でも。

それはすべて、「フクロ」です。

本当に優れた人間なら、どんなフクロに入れられても、キリとして鋭く外に出てきます。

あなたが今、突き出ていないのなら、それは「フクロ」のせいではありません。
ただ単に、あなたが鋭く磨いていないのです。

いつのまにか気持ちがたるみ、磨くのを忘れ…。
キリの先が、丸くなってしまっているのです。

◆ キリなら、必ず。

ですので。
あなたがもし今、「自分はまだ認められていない」と思うのなら…。

それはもう、間違いなく、「あなたの磨きが足りないせい」です。
上司のせいでも、環境のせいでも、社会のせいでもありません。

たとえば仕事をいくら頑張っていると思っても、まったく周囲から認められないなら、同じく、実は仕事の価値がそこまで高いわけではない可能性もあります。

また、あなたが小説を書いても人気が出ないなら、それは間違いなく、
「知名度が足りないから」
などではなく、その小説がまだその域に達していないのです。

さらにあなたが今後、モノを書いたり表現したりする場合、

「表現の規制があって、書きたいものが書けない」
「色々と制約や批判もあるので、言いたいことが言えない」

ということだって、当然あるでしょう。

しかし。
それだって、同じく「フクロ」です。

あなたの内容が本当にキリなら、そんなことはまったく関係ありません。

どんな規制などに縛られたとしても、必ずあなたの作品は評価されるはずです。

逆に言えば、「規制のせいで表現がうまくできず人気が出ない…」と思っているのなら、それは大間違い。

それは間違いなく、「キリではない」ということになります。

いずれにしても、あなたの行動が「キリ」ならば、「フクロ」は関係ないのです。
環境のせいにするのではなく、ただその場での全力を尽くす。

それこそが大切なのです。

◆ 行動するなら、それはキリになる。

もちろん、
「いや違う! オレも大きな舞台に立てば…!」
「みんなが分かる場所に行けば…!」
と言うのなら、いえもちろん、それが間違っているとは言いません。

だとしたら、今この瞬間に、すぐにその場面に立つこと。

それができるなら、毛遂と同じく、その行動も含めて、あなたは「キリ」です。

逆に言えば、「いや、まだいいよ…」とためらうのなら、それは「キリではない」と確定するわけです。

-----------------------------------
◆ 今回のまとめ。
-----------------------------------

○ 本当に優れた人物、また優れた内容なら、どんな場所にいても、フクロを突き刺します。

○ ただ僕たちにできるのは、「キリを磨くこと」だけ。

○ 鋭く突き出ていないのなら、磨きが足りない。それだけなんです。

◆ さいごに。

実業家である、小林一三という人物の言葉に、こんなものがあります。

「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。」

大切なのは、ただ今、目の前にあることを全力でやりぬくこと。
そうすれば、必ずキリは突き出ます。

「環境」のせいにしないでください。
「才能」なんて言葉を、言い訳にしないでください。

ただひたすら、磨く。
ただひたすら、今目の前のことを、楽しみつつ、続けていく。

それこそが、何より大切なんですよ。

 

ちなみに自分自身もこの言葉を信じて、日夜バスト連発しています。
優れたバストはいくら包んでも突き出てとか何でもありません。

自分のこの方針は間違ってないことを固く信じつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)