「グラビア界の黒船襲来」を思い出して。 例示の心理効果
あなたは、リア・ディゾンさんというグラビアアイドルをご存じでしょうか。
その人が日本の雑誌に出始めたとき、必ずといっていいほどついていたキャッチコピーが、
「グラビア界の●●襲来!」
今夜はそんな話から、ちょっとした心理テクをお教えします。
あらためましてこんばんは。ゆうきゆうです。
さてつい最近、小学館から、
「 お茶のこサイコロジー マンガでわかる恋愛心理術 」
という本が発売されました。
結構前に、「まんがタイムオリジナル」という雑誌で連載していた、茶畑るりさんとの心理学マンガの単行本です。
表紙はすごくさわやかに描いていただいた僕ですが、中身はかなり変態的になっています。いい意味で。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4093878986/katei-22/ref=nosim
よろしければ、ぜひ。
そして今夜のセクシー心理学は、恐ろしいほどシンプルな話をお届けします。
◆ 黒船につきまして。
さて、冒頭に出てきたリア・ディゾンさん。
数年前に大人気だった人なんですけども。
その人が日本の雑誌に出始めたとき、必ずといっていいほどついていたキャッチコピーが、
「グラビア界の黒船襲来!」
………。
当時は何とも思わなかったんですけど、今思い出すと、結構スゴいなぁ、と。
いや、「黒船」ですよ?
「リアディゾン・黒船襲来」
この言葉を並べて、試しに口にしてみてください。
いや本当に。
僕、今やってみたんですけど。
なんかもう、「ああああっ」って気持ちになります。
中学生のときの日記が出てきて、読んでるときのような。
このコピー考えた人って、天才だと思うんです。
今考えるとアレですが、記憶への強いインパクトという意味では、すっごいコピーだと思います。
言うまでもなく、江戸時代の、ペリーの黒船襲来から取ってると思うんです。
日本がチマチマやっているところに、大迫力のものが、海外からやってきた、という意味で。
よく考えると、他のグラビアアイドルに、ものすごく失礼だと思うんですけど。
しかしなぜこの、現代の、さらにグラビアという世界の表現で、それを使おうと思いついちゃったのか。
たぶん考えた人にとって、そこまでナチュラルな単語だった…とかでもないと思うんです。
たとえば、黒船襲来のときに子供だったとか、そのため彼(間違いなく男だと思う)にとって、当然のごとく使う単語だったとか…。
もう普段から、
「このオージービーフ、おいしいですよね」
「うん、黒船だねぇ」
みたいな会話してるとか。
しかし間違いなく、黒船襲来の年代に生きていた人が、いまだに生きてるワケがなく。
そうなると、思いついた人は、歴史で学んだ「黒船襲来」という言葉を、突発的に、使おうと思いついちゃったんだと思います。
いや、これこそが、間違いなく「生きた知識」だな、と。
日本全国の人が「黒船襲来」という知識を学校で学んだと思うんですけど、その知識を、日本で一番、役立てた人だと思います。
ちなみに「いざ、鎌倉」という知識を一番役立てた人は、以前に読んだ雑誌に載っていた、
「いざ、キャバクラ」
ってコピーを作った人だと思います。
何て言うか、歴史用語とセクシー系って、ものすごく結びつけたいと思われるものなんでしょうか。
「どうして勉強しないといけないんだろう?」って思う中学生のコに、伝えてあげたい。
「リア・ディゾンを表現するために、黒船って使うためだよ」って。
学習意欲が高まるのか高まらないのか。
◆ ここからちょっぴり心理学。
そういえば思い出したのですけども。
心理学的には、「うまいたとえ話を使うと、説得効果は高くなる」と言われています。
たとえば、
「苦しくても頑張れ! 頑張れば、道は開ける!」
と言っても、そこまで共感は得られませんが。
「あなたは、『カエルとミルク』の話を知ってますか?
あるところに、底の深いツボの中に、ミルクが入っていました。
そしてカエルが、その中に落ちてしまいました。
ツボから飛び上がって逃げようにも、ミルクの中なので、飛び上がれません。
しかしカエルはあきらめませんでした。
何度も何度も足を動かしていると、ミルクがかき回され、バターになりました。
そのため、固まったバターの上で飛び跳ね、カエルは外に出ることができたのです。
同じように、行動し続けていれば、環境が変化して、道が開けることもあるんですよ」
………と言うと、なんだか少しだけ、納得感が高まりませんでしょうか。
まぁ、「バターに足が埋もれて抜けなくなったらどうすんの?」と言われたら少し困るんですけども。
とはいえ、分かりやすい「関連話」「たとえ話」などを出すと、相手に与えるインパクトと説得力は、かなりアップする…というのは、ご理解いただければ幸いです。
もっとシンプルな例ですと。
たとえば誰かにたいして、
「ドキドキする」
「安らぐ」
というだけより、
「一緒にいると、はじめて海外旅行にいったときと同じくらいドキドキする」
「一緒に過ごしてると、あたたかいベッドに入ってるみたいにすごく安らぐ」
と言われる方が、ずっと伝わりませんでしょうか。
このように、「ちょっとしたたとえ話」というのは、説得において重要な意味合いを持つのです。
そう考えると、「グラビア界の黒船襲来」とかは、ある意味、理にかなっていたのかもしれません。
自分自身が、いまだに覚えてるくらいですから。
自分だけだったらホントすみません。
◆ 使いすぎはさすがに。
とはいえもちろん、使いすぎるのは逆効果。
「うちのチームのメンバー増やしてください!
ほら、桃太郎の話ってご存じですか?
桃太郎は、イヌに、サルに、キジがいたから、鬼と戦って勝てたんで…」
「うん。桃太郎とか出されても困るから」
みたいに言われると思います。
ここ一番で、シンプルなたとえ、特に誰もが共感しやすい話をつけるのがいいかと思います。
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◆ 今回のまとめ。
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○ 「例示」した方が、説得効果は増します。
○ でもやりすぎても、くどいと思われるので気をつけましょう。
というわけで、いつか僕も、雑誌編集か何かの仕事についたときに、同じコトをやってみたいと思います。
「グラビア界の大化の改新!」
「モデル界の室町幕府!」
「バスト界の西郷隆盛!」
………。
どれ一つとして見たくない。
特にラストはかなり危険です。
あらためて自分のセンスの皆無さをかみしめつつ、今夜もおつきあいいただき本当にありがとうございました。
(完)
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