お姉さんとユウくんのビジネス用語解説「ランチェスター戦略」

こんばんは。ゆうきゆうです。

あなたは「ランチェスター戦略」というのが、どういう意味かご存じでしょうか。
今夜は性懲りもなく、そんな話です。
 

お姉さん「みなさんこんばんは! 今日はランチェスター戦略について学んでいきましょう」

ユウ「はーい!」

お姉さん「突然だけどユウくん。ランチェスター戦略って、どういうものか、分かる?」

ユウ「わ、分からない…」

お姉さん「ハード・ハーダー・ハーデスト!」

ユウ「えっ!?」

お姉さん「ビッグ・ビッガー・ビッゲスト!」

ユウ「はぁ!?」

お姉さん「英語の授業で習ったでしょう? 形容詞の、比較級・最上級の活用」

ユウ「あ、あったね。そういうの」

お姉さん「じゃあ、ランチ(lunch)の活用は?」

ユウ「………ランチって、形容詞なの?」

お姉さん「活用は!?」

ユウ「ラ………ランチ・ランチャー・ランチェスト?」

お姉さん「そうよ!!」

ユウ「いいの!?」

お姉さん「すなわちランチェスターというのは、『ランチェストする人』のこと!
lunch+est+erよ!」

ユウ「ど、どういう意味なの?」

お姉さん「最上のランチを食べる人」

ユウ「そのまんまだね」

お姉さん「だからランチェスター戦略というのは、最上のランチを食べる人の考えた戦略よ」

ユウ「ぐ、具体的にはどうするの?」

お姉さん「お昼休みに、近くの吉野家に行くか、それともちょっと歩くロイヤルホストに行くか」

ユウ「そういうレベルなんだ」

お姉さん「びっくりドンキーでハンバーグ食べるか、もしくは妥協して、セブンイレブンのオニギリで済ますか」

ユウ「どの食事も、ぜんぜん最上のランチだと思えないけど…」

お姉さん「どんな企業にも、必ず一人はランチェスター戦略を考える人がいるのよ」

ユウ「………たとえば?」

お姉さん「『鈴木君の考えたランチェスター戦略は、サラダつきでお得だったなぁ』とか」

ユウ「そういうレベルなの?」

お姉さん「『田中君のランチェスター戦略は、ちょっと昼には重かったよ』とか」

ユウ「平和な会社だね」

お姉さん「まぁ、昼ご飯は午後の仕事にとって重要だから」

ユウ「うん。それはそうなんだけど」

お姉さん「そういう意味で、非常に大事な戦略なのよ」

ユウ「……ふうん……。それはそうと、僕が読みかじったランチェスター戦略の本にあったんだけど」

お姉さん「なぁに?」

ユウ「『装備が同じであれば、必ず兵力の多い方が勝つ』
って書いてあったんだけど、これってどういう意味なの?」

お姉さん「そうきたかぁ」

ユウ「………」

お姉さん「あのね、営業部と総務部が、同じ日のお昼に、同じ大きなレストランを目指したとしましょう」

ユウ「………」

お姉さん「そんなとき、営業部が一人、総務部が五人だったとするわよね?」

ユウ「…うん」

お姉さん「そしたらもう、人数が多い総務部の方が、そのレストランを占有しちゃうのよ。営業部は一人で肩身が狭いったらもう」

ユウ「………」

お姉さん「そういう意味」

ユウ「えー! なんか中途半端につじつまあってるー!」

お姉さん「なんか言った?」

ユウ「何でもないよ、お姉さん」

お姉さん「営業部の一人、つらいわよ?」

ユウ「………」

お姉さん「総務のコに、『ヤマダさん、一人でご飯食べてるー』『営業にお友達いないのよー』みたいに後ろ指さされるのよ。さびしいわよー?」

ユウ「軽くイジメだよね、それ」

お姉さん「だからヤマダさんはね、とりあえずレストランに行っちゃダメなの」

ユウ「え? 何なのその人権剥奪みたいなアドバイス?」

お姉さん「一人のときはね、立ち食いそばみたいな、狭い店に行くのよ」

ユウ「どゆこと?」

お姉さん「すると総務のコも、店が狭いから、一人ずつ入らなきゃダメなのよ」

ユウ「ていうか、帰るよね、そうだったら」

お姉さん「するとヤマダさんも、『あぁ、一人ぼっち』みたいに言われないですむのよ」

ユウ「………」

お姉さん「まぁ、さびしいのは変わらないんだけどね」

ユウ「変わらないんだ」

お姉さん「これが本当の意味でのランチェスター戦略よ」

ユウ「なに、本当の意味って」

お姉さん「というわけで、みんなも分かったかな?」

ユウ「う、うん…。なんだかかえって混乱した気がするけど…」

お姉さん「ちなみに今日のランチェスター戦略は?」

ユウ「吉野家で、ブタ丼とか…」

お姉さん「却下」

(完)

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◆ 真面目な用語解説 「ランチェスター戦略」
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イギリス人であるランチェスターが、第一次大戦において発見した、戦いの法則。

「武器の性能が同じであれば、必ず兵力数の多い方が勝つ」
「味方の戦力が少ないなら、狭い場所で戦え」

など。

たとえば一人で五人を相手にして銃撃戦をした場合、はじまった瞬間に蜂の巣にされ、相手の一人すら倒せない。
しかし狭い場所で一人一人を相手にすれば、勝つ目も出てくる。

同じように小企業の場合、大企業と同じ分野で戦うと絶対に負けてしまうため、『ニッチ市場』を狙った方がいい…というような戦略のこと。

僕が多人数VS多人数の合コンがあまりスキではない理由も、ここによるのかもしれません。

色々と切ない思い出をよみがえらせつつも、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)