豆を食べられないお坊さんの話。
あるお坊さんが、豆のスープを出されました。
しかしそのお坊さんは、そのスープを見た瞬間、泣き出し、食べることができませんでした。
あなたは、この理由が分かりましたか!?
今夜は、徒然草から、知性の話をお届けします。
こんばんは。ゆうきゆうです。
今夜は、みんな大好き(たぶん)徒然草から、こんな話をお届けします。
◆ 6つの感覚、キレイにしましょう。
今夜ご紹介するのは、第六十九段。
数が微妙にセクシーなのは偶然です。たぶん。
昔々、円教寺というところに、性空上人(しょうくうしょうにん)というお坊さんがいました。
うん。
性空。
英語にすると、セクシー・イン・ザ・スカイです。
まぁ、とにかくこのお坊さん、とても熱心にお経を読んで修行をしたので、「六根浄」の域にまで達しました。
「六根」というのは、目・耳・鼻・舌・体・心という、6つの感覚のこと。
まぁ、五感+第六感みたいなものです。
昔、「聖闘士星矢」というマンガで「セブン・センシズ(第七感)」という設定が出てきましたが、それはここでは関係ありません。
まぁ、とにかくこの6つの感覚。
一般人は、普段の生活で、これらの感覚が汚れてしまっているそうです。
しかし!
この性空上人は、修行を積むことで、その感覚の汚れをキレイにすることができました。
すなわち、すべてをクリアに見たり聞いたり嗅いだり舐めたり触ったり感じたりできるようになったわけです。
うん。
会ってみたいような、会ってみたくないような。
クリアに何見られるか分かりません。
いずれにしても、この「素直でクリアな感覚になる」ことこそが「六根浄」なわけです。
さて、ここからがメイン。
このお坊さん、旅行中に、ある家に泊めてもらうことになりました。
そこのご主人、有名なお坊さんが来たということで、張り切って食事を作らせました。
まず、豆の皮(豆がら)をむいて、ツルンとした豆の中身を出します。
その豆の中身を鍋に入れて、スープを作ったのです。
そして火を起こすために、いらなくなった豆がらを燃やしました。
さて、それでできあがったのが、豆のスープ。
しかしお坊さん、それを食べようとしたところ、突然に涙を流しました。
「ど、どうしたんですか!?」
慌てて聞く家の主人。
あなたは、なぜこの上人が泣いたか、分かりますでしょうか。
◆ その答えとは?
実は、すべての感覚がクリアになった上人には、こんな声が聞こえたそうです。
豆(女性の声をイメージしてください)
「ああっ…。熱い…。こんなスープの中で煮られ、殺されるなんて…! この火を起こしてるのは、ついさっきまで、私の体を包んでくれていた、皮のあなた…! 今まであんなに一緒に過ごしたあなたが、どうしてこんなにヒドイことをされるの…!?」
豆がら(男性の声をイメージしてください)
「ううっ…。そんなことを言わないでください…。私だって、燃やされ、苦しんでいるのです。それに私だって、ずっと守ってきたあなたを、こんな目に遭わせたくないんです…」
だから、それがかわいそうで、性空上人は、豆のスープを食べることができなかったそうです。
うん。
いいから黙って食べろ。
なんか、食べなくてムダにしちゃう方が、よっぽど豆がかわいそうだと思うんですが、そう思うのは僕の六根が汚れているからでしょうか。
そう思うと、「あの動物を食べるのはかわいそう」という運動をする人も、もしかしてみんな六根浄しちゃっているのかもしれません。
とはいえ、まぁ、「豆がただ単に煮られてるなー」だけで終えるのではなく、
「見方を変えてみると、こんなドラマもあるなぁ」
ということを思いつくのは、心の余裕の証。
心理学的には、こういう発想ができる人ほど「知性が高い」と考えられています。
そう考えると、まぁ、意味のあることかもしれません。
答えが分かった方はステキです。
ぜひその道を進んでください。
周囲に引かれない程度に。
◆ 役に立つことも、たまには…?
ちなみにこの「豆がらで豆を煮る」話。
実はさらに古く、三国志の中にも出てきます。
かの曹操には、曹丕と曹植という子供がいました。
ここで、帝位を継いだ曹丕は、弟である曹植にたいして、
「七歩のあいだに詩を作れ」
と命じました。それができなければ殺そうとしたのです。
そこで曹植が作った詩が、この豆と豆がらの話。
これによって、「同じ血を分けた兄弟が殺し合うことの虚しさ」に気がついた曹丕は、自分の気持ちを恥じ、殺すのをやめることにしました。
まぁ、命が助かったわけですので、六根浄が実生活に役だった究極の例だと思います。
ですのでたとえば、リストラされそうになった場合、この豆の話をして、
「同じ組織に属してるあなたが、なぜ私を苦しませるんですか?」
みたいに言えば、リストラの危機は回避されるかもしれませんが、たぶん無理だと思います。
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◆ 今回のまとめ。
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○ 物事をクリアに見てみると、新たなドラマが生まれるかもしれません。
○ それは心の余裕と知性の証です。
○ タイミングさえ間違えなければ、実生活で役に立つかも。
○ 性空上人が栄養失調で死ななかったのかどうかが気になります。
というわけで、徒然草は第六十九段から、性空上人の話。
いかがでしたでしょうか。
人生に、心の余裕や遊び心は大切かもしれません。
時と場合を選びますけども。
最後に、自分自身も、六根浄にチャレンジしてみたいと思います。
僕のキーボードの「は」のキー
「ああっ…! どうして僕ばかり、こんなに削れてしまうんだ…! ただでさえ使われる機会が多いのにも関わらず、さらにこの持ち主が『バスト』という言葉ばかり打ち込むからだ…! 隣にいる『ひ』がうらやましい…」
僕のキーボードの「ひ」のキー
「そんなこと言わないで…! 私だって最近、持ち主が『美乳』って言葉ばかり打ち込むから」
………。
こんなことばかり考えてしまう自分は、間違っても人間としてクリアじゃない。
そんな事実に愕然としつつも、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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