セクシーワイン漫画「神の雫」

あなたは、「神の雫」というマンガをご存じでしょうか。

今夜、想像もつかないワインの表現が、あなたを襲います。

こんばんは。ゆうきゆうです。

かのグルメマンガの金字塔「美味しんぼ」も、ついに100巻になりました。

僕は山岡さんと栗田さんが親しくなりはじめたあたりで挫折したのですが、
それでもとにかく100巻まで続く事実がステキです。

この美味しんぼのヒット以降、世の中にはたくさんのグルメマンガが出てきました。
しかし、グルメも最近はほとんど出尽くしたため、どんどん細分化。

そのうち一つ「ワイン」に絞ったのが、このマンガ。

ひと言で言えば、主人公が究極のワインを追い求める、というストーリーです。

ライバルも登場し、「ワイン版 究極対至高の対決」なども行われます。

さて実際にグルメ系のマンガでは、「いかにそれがおいしいか」ということの描写がとても大切です。

さらに、これはワイン
絵そのものでは、料理ほどハッキリと差が出ません。

マンガでは単なる「黒ベタの液」です。

いかに描こうとも、絵的には「グラス入りの墨汁」と一緒です。

そうなるともう、主人公たちの「表現」しか、語れる言葉はありません。

ソムリエの田崎真也は、あるワインを飲んだときに、「豊かな土を口に含んだかのような」と表現していました。

ていうかそれっておいしいの?

子供のころに土を食べてみてウェッとなったことのある自分は、
本気でそうツッコミたくなりました。

しかし、とにかくプロのソムリエも、独自の表現を作ろうと必死なわけです。

ではこのマンガでは、どうなのか。

具体的に見てみましょう。

まず主人公は、あるワインを口に含んで、こう言います。

「花嫁の美しく透明な白いヴェール。
しなやかで気高く、その奥に潜む表情を和らげてくれるヴェールそのものの優しさがあふれている」

なんだか表現がステキなのは分かるのですが、
味のイメージはぜんぜん分かりません。

というか、

途中から、評価の主役がワインからヴェールに
うつってるような気がするんですが。

ヴェール万歳、みたいな。

ここから先も、出てくる絵はすべて「味のイメージイラスト」です。

すなわち「心象風景」です。

間違ってもワインを飲んだ瞬間に花嫁が出てくるとか、そういう状況ではありません。

他にも、やはり主人公はこう表現します。

「そう、ちょうど故郷に帰って、幼なじみと結婚するような、そんな感じだ」

どんな感じでしょうか。

ワインがおいしいのか、
幼なじみと結婚したいのか、分かりません。

さらに何か、

「幼なじみなら俺のプロポーズを絶対に断らないぜ」

的なオーラを感じてしまうのは僕のひがみでしょうか。

他にも、彼はワインを飲み、こんな心象風景を感じます。

「甘く柔らかい香り。これはメイプルシロップをたっぷりかけた、パンケーキ?」

女性の髪の毛から、メイプルシロップの香りがして、嬉しいのでしょうか。

個人的には、なんかアリがたかってきそうでイヤです。

パンケーキを食べたいのか女性を抱きたいのか、ハッキリした方がいいと思います。

また、こんなシーンも。

彼がワインを飲んだ瞬間、こんな風景が広がります。

「あ………あなたは………、クレオパトラ?」

いや、こっちに聞かれても。
さらにシーンは続きます。

「ひと言で表すならば…エレガンス」

だったら最初から、飲んだ瞬間にひと言「エレガンス」と言えばいいと思うんですが、
それでもクレオパトラなどの手順を踏むのがこのマンガの表現手法です。

他にも彼が飲むと、こんな心象風景が広がります。

裸の男と美女。

…。

イスに座る美女。

 

………。

たたずむ、美しい乙女。

 

………………。

たくさんの美女たち。

 

女の風景ばっかりかよ!

心からそんな気持ちになります。

ワインの表現をするのに「座った女」「立った女」「裸の女」など、ほぼ必ず「女」が出てくるのです。

さらにあるときなどは、こんな表現をしていました。

「女がいた………」

とにかく女かよ!

シチュエーションが尽きたのでしょうか。

味わい表現以前に、とにかく女って言いたいだけ、という雰囲気を濃厚に感じます。

というかこれ、「飲むと美女が出てくるワイン」というのは、男が飲んだら嬉しいかもしれませんが、
女性が飲んだらどう思うんでしょうか。

少なくとも僕は、飲むたびに男が出てくるワインはイヤです。

さらに主人公はある女性の前で、ワインを飲みます。

ここでもやはり女性。それも全裸。

そして。

「水浴びする乙女がいて(中略)、乙女はそっと俺に口づけする。
するとハチミツのような甘みと石をなめるようなミネラル感」

実際、女性とデート中にワインを飲んでこんなことを言ったら、

「だったらその女とデートすればいいじゃない」

と言われると思います。

たとえば逆に、好きな女の子とお酒を飲んだときに、そのコが

「全裸の福山雅治と、キスをするようなおいしさ。ちなみに福山の舌はハチミツのような…」

と語りだしたら、「たぶん自分は嫌われてる」と判断すると思います。

さらに主人公には、ライバルが存在します。

美味しんぼで言うなら、海原雄山的な位置づけの男性です。

彼は、いったいどのようにワインを表現するんでしょうか。

「王女サロメは(中略)、おお、何という悪魔的退廃。何という甘美な陶酔」

やっぱり女です。

 

格調高い言葉に包んでますが、結局は、
「女がいた」
と大差ありません。

 

さらにこんな表現も。

「彼らは………何だ?」

こっちのセリフです。

さらにこんな表現も。

「あ………あなたは、誰です?」

だから、こっちに聞かれても。

いずれにしても、とにかく基本は女性です。

しかも、主人公と同じワインを飲むと、同じ女性が見えるという念の入りよう。

かのユングは、すべての人間は、心の底で普遍的無意識でつながっていると言いましたが、
それにしても限界があると思います。

ちなみにこのマンガ、要所要所に微妙にセクシー表現が挟まれます。

たとえば、女性が飲んだとき。

「んー美味しい…。こんな美味しいシャブリを飲んだの、はじめてかも…」

ワインひとつ飲むのに、ムダにセクシーです。

というか、女性は「女がでてきたうんぬん」と言わないところがポイントです。

よっぽど素直に楽しんでると思います。

さらに、

飲んだ直後にはシャワーシーン。

ワインを飲むと汗をかきますものね。必須ですよね。

 

………そうか?

さらには、

「あの二人、できてるぜ。グラスの持ち方や飲む仕草がまったく同じだった。絶対関係がある」

ワインの飲み方ひとつで、
男女に関係があるかも見抜く主人公。

相手にとっては、余計なお世話です。

というか「できてる」っていまだに言うんでしょうか。

とにかく、これこそが、ワインを使って女体のすばらしさを語る、もとい、
女性を使ってワインのすばらしさを語るマンガ「神の雫」です。

こう言いつつも面白いマンガですので、よろしければ、ぜひ。

 

後日談。

ちなみにある喫茶店に、こんな張り紙がありました。

か、神の雫だ!

ワインを宣伝しているようです!

何て書いてあるんでしょう!?

「ヴィラージュには肉厚さがあり、流麗な曲線美を供えた大人の女性が思い浮かぶ。
 アール・ヌーヴォー絵画の中にたたずむ、気高き貴婦人の姿である。」

 

やっぱり、女でした。

というか、

気高き貴婦人、500円です。

「女がいた」。

いつかグルメ番組などで使われたらいいのに。

 

みなさま今後ともよろしくお願いいたします。