あなたには35億の借金がある。 +-の記憶

あなたが、誰かにしてあげた親切を思い出してください。

今度は、あなたが誰かにしてもらった親切を思い出してください。

…それが、答えです。

今夜は、「誰もが35億円の借金を抱えている」という話です。

こんばんは、ゆうきゆうです。

小学校のとき、岡尾くんという友達がいました。

その当時「丘を越えゆこうよ~口笛吹きつ~つ~♪」という歌が流行しており、同じクラスの男子たちが、
その歌を歌いながら、しゃがんだ岡尾くんの上を馬跳びしていました。

「丘を」と「岡尾」を掛けてるわけです。あえて説明すると。

今から考えると、あれ、軽くイジメだったと思います。

でも、同じことを女の子がやったとき、岡尾くんは少し嬉しそうでした。

今から考えると、かれ、軽くMだったと思います。

色々と切ない記憶を思い出しつつ、今夜もセクシー心理学の世界をお届けいたします。

◆ 35対1の真実。

あなたは、誰かに「恩を仇で返された」ことはありますでしょうか。

「信じていたのに、裏切られた」と感じたことはありますでしょうか。

今回は、そんなあなたにお届けする、人の心の「真実」です。

実はアメリカの心理学者であるトラフィモウ・アーメンダリッツ(2004)らは、こんな研究を行いました。

彼らは400名の大学生にたいして、

「人にしてあげた親切な行動」と、
「人にしてもらった親切な行動」を、それぞれ書き出させました。

すると。
その思い出したエピソードの数は、どれくらいの差があったと思いますでしょうか。

実はその比率、何と35対1。

「人にしてあげた親切な行動」を、35倍も多く覚えていたのです。

普通に考えて、人間と人間のやりとりは、1対1。

人類全体の総和で考えれば、「してあげた親切」と「された親切」は、やはり1対1になるのが自然です。

しかし人間は、「自分のしてあげた親切」を、「自分のされた親切」の、35倍も多く記憶しているわけです。

実際に「親切を受けている」というのは、「まだ恩を返してない」ということにもなり、心の重荷になります。
だからこそすぐに忘れたり、「あれは恩じゃない」と考えてしまうわけです。

逆に「恩を売った」というのは心地いいことなので、強く心に残ります。

人の記憶は、とても都合がいいわけです。

◆ あれだけしてやったのに!

実際に昔、ある会社の社長が、あるミスをした社員にたいして、こう怒っていたことがありました。

「あれだけ高い給料を払って目を掛けてやったのに、あんなミスをするとは!」

しかし、逆にその社員に言わせると、

「あれだけ頑張って働いてきたのに、ひとつのミスであんなに怒るなんて!」

これ、この話を端的に表していると思います。
みんな、自分のしてやったことだけを、極度に強く記憶するのです。

言い換えれば、人間はほぼ全員が、「35倍もの恩を貸している」と思っているということ。

たとえるなら、全人類が、

「手元には1億円の現金しかないのに、同時に35億円の借用書を持っている」

ようなもの。

言うまでもありませんが、経済として矛盾しています。

誰かが「35億円も貸してやったのに! 返せよ!」と言っても、誰もそれを返せません。
恩を売った瞬間、関係は崩壊するのです。

◆ 「恩」なんて、意味のない思考。

ですので。

「あいつには、あんなにしてやったのに…」
「これだけの金を渡してるのに…」
「色々と尽くしてあげたのに…」

というように思うことほど、虚しいことはありません。

相手だって、確実に同じように考えています。

よって「恩を仇で返された…」とか「裏切られた…」なんて考えは無意味。

相手にしてみれば、
「あれだけやってやったんだから、これくらいは」と考えているはずです。

◆ あなたは、どちらのタイプですか?

ですので、冒頭のテスト。

「誰かにしてあげた親切」をすぐに思い出せて、
「誰かにしてもらった親切」をなかなか思い出せなかった人は、とても「一般的」です。

言ってみれば、「恩を強く覚えている人」。

「あれだけしてやったのに」と考えがちですので、注意してください。

逆に、「誰かにしてもらった親切」をすぐに思い出せて、
「誰かにしてあげた親切」をなかなか思い出せなかった人は、かなり謙虚な人と言えます。

とても義理人情あつくて、優しい人かもしれません。

ただ、時にそこにつけこんで、恩を売ってくる人もいるので注意してください。

たとえばビジネスなら、あなたが「恩」と感じていても、相手だってそれに見合った対価をちゃんと受け取っているはず。

必要以上に恩義を感じる必要もありません。気をつけてくださいね。

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◆ 今回のまとめ。
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○ ほとんどの人は、「してあげた親切」を、35倍も強く記憶している!

○ よって「あれだけしてやったのに…」という思考ほど、意味のないものはない!

あなたが忘れていたり、認識していなかったりするだけで、本当は、相手だって同じように色々なことをしてくれているんです。

大切なのは、「あれだけやってあげた」なんて、過去の記憶に頼るのではなく、それとは関係なく、今また新しく、色々としてあげること。

このことを知っておくだけで、少しだけ人間関係がラクになるはずですよ。

◆ さいごに。

人間関係は、すべてプラスマイナス0です。
片方だけが、片方だけに、恩を与えていることなんて、ありません。

こんな話があります。

ある女性が、母親を亡くしました。

彼女は「生きているうちに、何にも親孝行ができなかった…。ここまで育ててもらったのに、何もお返しすることができなかった…。ごめんなさい…!」と悲しんでいました。

その夜に、彼女は母親からの手紙を見つけました。

そこには、こう書いてありました。

「生まれてきてくれて、ありがとう」

「恩」なんて言葉に縛られるのは、やめてください。
誰もがそれぞれに何かを与えて、それぞれに何かを受け取っているんですよ。

(完)

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。


コメント

  1. dareka より:

    やったー一番?

  2. まきこ より:

    してあげた親切も・・・
    してもらった親切も・・・
    なぁ~んにも思い浮かばない私は
    ただの認知症でしょうか?

  3. 匿名 より:

    最近「恩を仇で返された」という言葉を使ったことがあります。

    どちらかというと向こうに頼られて相談に乗ってしまって・・・
    考えてみると、自然な感情でしたことではなく、あとあと「してやった」と思えてくるカンジでした・・・これが「恩」。

    「仇」は相手がマルチ商法を信じ込んでいたこと。

    実際勧誘はしつこくされなかったのに、いや~な経験でした。

    よって。
    自分から相手に・・心からこうしたい!と思うこと以外にしないことにしました。
    居心地の悪そうな場所には、誘われても無理して行かないようにします。

    ・・・という決意をしたこの頃です。。。

  4. mimi より:

     このサイト来て初めて泣きそうになりました(*’_’*)バストバストも良いけどこういう話も良いですね♪

     岡尾くんがどこで出てくるんだろう、と思って本編を読み進めていましたが、彼は見事におまけだったんですね(^_^;)

  5. 想像力欠乏 より:

    この実験は大学生を対象にしたものですよね?発達の段階って言えば最も自意識が強く他人よりも有用でありたい時期ですから、してもらったよりもしてあげた親切の方がより印象に残るのも不自然ではありません。従って大学生と言う特定集団から得たデータを全人類に汎化するのがあまり適切とは言いがたいです。まあ、他にもデータがあれば話は別ですが・・・
    (p.s.差し支えなければ、人名だけではなく引用文献リストも載せていただけませんか。)

  6. 匿名 より:

    じーん…。
    よいお話です。

    しかし、お互い与えるものがプラマイゼロならば、やっぱり裏切りは裏切りでしかないような気もします。

  7. P より:

    最後のお母さんの話、じーんとしました。

    「人にしてあげたことはすぐに忘れなさい。
    人からしてもらったことはずっと覚えていなさい。」
    という格言は、35:1のバランスを整えるために
    生まれたのかもしれないですね。

    私の場合、人からしてもらったことなら10年以上前から最近までの出来事を覚えているのですが
    自分が相手に対してした事は、せいぜい数日前くらいまでしか思い出せません。

    ・・・単に自分がしたことを覚えてないだけかも。
    過去にひどいことをしてしまった人に、もう一度同じことをしないよう気をつけようと思います(汗

  8. 単なるゲスト より:

    5番の方

    データとか実際の件数って大事だと思います。
    これだけの実績があるのだから事実に違いない!
    それって尤もな話ですが。。。

    ゆう先生のお話は、いつも一例なんじゃないかと私は思ってます。

    こういう例もある。
    広い世の中にはもっと違う例もあるでしょう。
    そんな中で例えば、こんな風に考えてみたら少し心が軽くなるかも?

    ゆう先生は心理学の勉強じゃなくて。
    そこへ踏み込む入り口を提供してくださっているんじゃないかな、なんて。

    そんな風に受け取ってみては如何でしょう^^

    文献探しやソース探しも勿論、大事だとは思いますけどね。
    ○○という偉い学者さんが言っていたから正解とか、
    世界中のヒトへ均等に調査したから確実だなんて
    そんな風に言われても少し疑問が湧いてしまう天邪鬼なもので^^;

  9. 匿名 より:

    昔なんかで聞いたことがあります。
    うろ覚えですけど・・・

    「裏切られるなんてことは絶対にない。 信じるということはたとえその人がど のような行いを使用とも許容すること だ。あなたが裏切られたと感じた時、 それは裏切られたのではなくあなたが 信じるという好意をやめ彼を裏切った のだ。」

    とか、こんなニュアンスだったと思います。

    言葉遊び、あるいは屁理屈だと思う方もいるでしょうが何故か心に残ってました。

  10. あずぱん より:

    「誰かにしてもらった親切」をすぐに思い出せて、「誰かにしてあげた親切」をなかなか思い出せなかった人です。
    まあ私の場合はあまり誰かに親切してあげた経験が少ないのかもですが;

    それから、
    岡尾くんが女の子に馬飛びされて喜んでたのはパ○ツが見え……(ry

  11. 匿名 より:

    >差し支えなければ、人名だけではなく引用文献リストも載せていただけませんか

    David Trafimow, Monica L Armendariz, Laura Madson. (2004). A Test of Whether Attributions Provide for Self-Enhancement or Self-Defense. The Journal of Social Psychology, 144(5), 453-463.

    ユウせんせではないですが、どうぞ。

    当然のごとくちゃんとしたメソッドが使われています。
    2004のリサーチならもう他のリサーチャーからレビューもされているころあいでしょう。
    では。

  12. n-oppaj より:

    今日、久しぶりに親に電話したとこでした

    そして今回の話に出会いました

    感動しました

    P.S. 小学生のころ、坂道で、ある「S」な女の子の背中を押してました
    あのころは楽しかった

  13. 匿名 より:

    そして実験への感想ですが

    私は人にしてもらった親切の方がいっぱい思い浮かびます

    ま、まさかっ、親切にしたりないのでしょうか?!!

    特にお年寄りに親切にされるとじーんときてしまいますよねー。

    面白い記事をありがとうございます。

  14. だんな好き より:

    今の主人と一緒にいるようになって、もうすぐ10年になります。
    付き合い始めのチヤホヤとされていた頃の印象が強くて
    最近は、普通の態度に物足りなくて、ちょっと淋しいなと思っていました。

    私はただの世話好きで、主人に尽くすタイプ!と思っていましたが、
    やはり心のどこかで見返りを期待していたのだと思います。

    でも、記念日などのイベントには必ずプレゼントをくれて、
    疲れていても感情的にならず私の話を聞いてくれる主人から貰っているものは、
    本当に大きなものだと、改めて思いました。

    自分ばかり主人や周囲の人の世話を焼いて、手助けしているなんて大変な驕りですよね。
    一緒にいられることの大切さを今後も忘れないようにしたいです。

    ゆう先生どうもありがとうございました。
    今回の話はバストで落ちなくて良かったです(*^^*)♪

  15. みゆ より:

    良いお話です…。
    9番さんのお話も心にきました。
    信じることは大切ですよね。

  16. あきころん より:

    『情けは人のためならず』という諺の意味を世の中の半数以上の人が誤解しているというのも、こんな人間心理が働いているせいだったりするんでしょうかねー?

    それにしても先生の心理学はいつも優しいなぁ。
    ほっとします。
    ああ、バストバスト言わなければ、こんなに立派な人なのにw

  17. freaks-freak より:

    どっちも1つも思い付きませんでした

    たぶん集中して30分くらい考えれば思い付くかも…

  18. 匿名 より:

    両方思いつかず、あるとしたら親にもらった愛情くらいかな
    と思っていたら、最後に親子の話があってちょっとびっくりしました。

    >>5さん
    大学生というのは、かなり大人の考え方ができる人から
    まだまだ子供な人までバランスよくいるイメージですね。
    このような実験には丁度いい群なのでは?
    勿論他大学、他年代や他人種も調べた方がバイアスは少なくなると思いますが。
    まぁ、そもそも心理学は全員に当てはまるものではないですから、
    全人類に汎化しようなどとはさすがに考えていないのでは?
    傾向、多数少数を見てそれを何か別のことに生かすという目的。

  19. ダーツ より:

    私はある女子生徒に手作りの飴をもらった事を思い出しました・・・。

    その飴は
    足の裏の味がしました・・・。
    ・・ええ、はい、あの・・・捨てました

  20.   より:

    具体的な事例は何も思い出せないですが、不親切にされたと思っていること、親切にされたと思っていることならあるような気がしています。
    逆に、他人に親切にしたことって……うーん……。単に自分が不親切なような気が。

  21. smish より:

    親切な事・・・あまりしてないな。反省。

  22. KAKERU より:

    人にやさしくすると言う行為について、いつも思っていることがあります。
    「見返りを求めたら、それはやさしさじゃない。そうなってしまえば、それは下心である」と……
    結局、何かをするときに見返りがあること前提でやるということですからね。
    それは、本当の優しさじゃない。

    ちなみに、誰かに何かをするというのは当たり前のことであるために、ゼロだったりします。

  23. はららん より:

    >>19
    足の裏の匂いならともかく、足の裏の「味」を知ってる・・・その手の趣味ですか。

    ゆう先生
    私は人に親切にしてあげて記憶がまったく思い当たりません・・・それはそれで問題ですよね?

  24. よーじ より:

    久々に覗いてみたら、今まで読んだ本や聞いた話の中でも一生心に残る話でした。ゆうさん、ありがとう。これからも、バストだけでなく、そんな素晴らしい話聞かせてください。

  25. ラリックマ より:

    ええはなしや・・・岡尾くん

    ちなみに、小学生の時の友達だった
    花岡くんのあだなは「じった」でした。

    花岡じった。

    もちろん小学生のことなので、その後
    「耳岡」「指岡」「乳岡」「股岡」と
    エスカレートしていきましたが、なぜか
    花岡くんは満足気でした。

  26. みなこ より:

    この実験、本当かなあ?
    自分がした親切なことって、思いつきません。
    謙虚とかそういうレベルではない気がします。
    思いつくのは、たまに母親の背中を掻いてあげることくらいかな。
    人から親切にされたことと、
    人から嫌なことをされたことなら、
    嫌なほうをたくさん思いつくような気もします。
    5番さんの文を見て思ったのですが、
    確かに大学生の頃くらいは、自分がしてあげたってことを
    たくさん覚えていた気がします。
    でも、歳を重ねるにつれ(私は現在30手前)、
    人から見返りを求めても仕方がないっていうのを自然に覚えて、
    今は自分がしてあげたことは忘れているのかもしれませんね。
    人に親切にすることを忘れているのかも?

    でも色々考えさせられました。

  27. Ri より:

    私、何も思い出せません。

  28. 匿名 より:

    一年以上前の記事ですが、>>11さんに感謝です。
    やはりリファレンスがあると、自分で探す手間が省けて、有難いです。
    >>8さんの場合は勘違いをされているようですが、実際、元の論文を見ないことにはメソッドやサンプルなどが判らず、参考に出来ませんからね。。
    それに、元の論文が判れば、派生した実験や批判等も探しやすくなりますし。

  29. 匿名 より:

    よくよく考えると前提1:1の関係であることがむしろ不自然では。
    1:0がありえてしまう上、基準を主観に置くと35:1になるのでしょう。