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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 2002/09/29
~サイパンに行く精神科医たち。
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ユウです。
今回のクイズ編のような長編は、つい書くのが遅くなってしまって申し訳ありません。
毎回来てくださる方には非常に申し訳ないので、ちょっとだけ別のお話を。
つい最近、医局のメンバーでサイパンに行ってきました。
サイパンというとまさにリゾートというイメージがありますが、旅行者の99%が日本人です。
サイパンダという「サイ」+「パンダ」のマスコットキャラクターがいる時点で、
もう日本人以外へのアピール完全放棄しています。
←サイパンダ
さてサイパンには、「マニャガハ島」という、サイパン本島よりもさらに海がきれいなスポットがあります。
名前はアレですが、まさにオススメの場所らしく、サイパンに行ってそこに行かないのはモグリとまでいわれている島です。
そこでですね。
はじめは行くつもりはまったくなかったのですが、
「マニャガハ島はサイパン本島よりも水着がスゴいらしい」
というリオ先生の聞きつけたウワサにより、急遽僕とリオ先生の二人は、マニャガハ島に向かうことになりました。
基本的にマニャガハ島へは船で10分ほどなのですが、定期便のようなものはありません。
よって自分たちで現地のミニツアーの人を見つけて、交渉しなければなりません。
ユウ「どうするんですか…?」
僕が心配そうに聞くと、リオ先生はにこやかに言いました。
リオ「任せろ! 俺にいい考えがある」
そしてリオ先生は海岸まで歩くと、もの欲しそうな顔をしてマニャガハ島を見つめ始めたのです。
ユウ「…………」
リオ「これで誰か声をかけてくれるかも」
なんて消極的な。
そんなときです。
「オニーサン、マニャガハ、イキタイノ?」
その声に振り向くと、現地の人がにこやかにこちらを見つめていました。
「ツレテテ、アゲヨーカ?」
もう99%が日本人だけあって、現地の人も日本語ペラペラです。
リオ先生は嬉しそうな顔をしていいました。
リオ「なんて優しいんだ! あんたは神だ! ありがとう!」
すると現地の人は笑いながら言いました。
「ヒトリ20ドル」
……………。
まぁ、予想はしてたのですけど。
僕がそう思っていると、リオ先生は言いました。
リオ「……ナンパした女とイザってときに、金を要求されたのを思い出した」
嫌なフラッシュバック現象ですね。
そしてリオ先生がにこやかに15ドルに値切りながら、結果的に僕たちは、その男性のボートでマニャガハ島に行くことにしました。
天気も快晴で、最高のボート日和です。
さて、船に乗ろうとしたとき、その男性は僕たちにこう言ったのです。
「プラス15ドルデ、バナナボートニモ、ノラナイカ?」
バナナボート。
ボートが引っ張ることですごい勢いで走る、バナナの形をしたボート。
僕は今までに一度も乗ったことがなかったので、気持ちが惹かれました。
リオ「面白そうじゃないか、乗ろうぜユウ?」
ユウ「はい、いいですよ」
そして僕たちはさらに15ドルを払い、船に乗り込んだのでした。
同じ船には新婚旅行と思われるカップルが二人乗り込み、計4人を乗せて、マニャガハ島に出発しました。
リオ「これで究極にセクシーなマニャガハ島に行けて、なおかつそこでバナナボートも体験できる。なに一つ不満のない最高の旅行じゃないか」
リオ先生のその言葉に、僕も笑顔で言いました。
ユウ「そうですよね!」
そんなときです。
船を運転していたミニツアーの男性が、僕たち二人に向かって言ったのです。
「サ、バナナボートニ、ノッテクダサイ」
…………………。
僕とリオ先生は、状況が飲み込めませんでした。
まだマニャガハ島へははるか先の、海の真っ只中です。
リオ「……………」
ユウ「………………」
リオ「……パードン?」
気持ち、分かります。
するとその男性は、言いました。
「ハヤク、バナナボート、ノッテクダサーイ」
ここで乗るんですか。
ていうか
リオ「これであっちまで移動するのか!?」
はい、僕の言いたかったことそのものです。
しかしそう言う間もなく、僕とリオ先生は強引にバナナボートに乗せられました。
もう一組のカップルはバナナボートを希望しなかったららしく、そのまま船に乗っていました。
「ジャ、バナナボート、シッカリツカンデテクダサーイ」
そういう男性に、リオ先生は大声で言いました。
リオ「落ちたらどうするんだ!? 助けてくれるんだろうな!?」
すると男性は、しばらくの沈黙の後に、OKサインを出しながら言いました。
「オチナイデクダサーイ」
問題解決になってません。
そして反論するスキを与えず、バナナボートは船から離されます。
あっという間に僕たちは船から後ろに流され、そしてロープが伸びきったところでものすごい衝撃が走り、船から引っぱられ始めました。
リオ「おわああああああ!」
ユウ「うわわわわわわわわ!」
あわてながら必死にバナナボートの背をつかむ僕たち。
このままマニャガハ島まで10分間の旅。
船の上では、カップルが僕たちを見ながら、にこやかにイチャイチャしています。
天国と地獄ですね。
ていうか通常料金の倍額はらって、どうしてこんな
ウルトラクイズの罰ゲームみたいな移動方法を取らされてるんでしょうか。
僕は前でボートをつかむリオ先生の背中を見ながら、人生の哀愁を感じていました。
そして10分後。
ヘトヘトになりながらマニャガハ島についた僕とリオ先生。
サイパン本島よりも水着がセクシーというのはまったくのデマで、
おそらくマニャガハ島で最強にセクシーだった
リオ先生のブーメランパンツ
を目に焼き付けながら、僕は帰りのボートに乗ったのでした。
「スイジョウスキーノ、オプションモアルケド」
現地の男性のその言葉に笑顔で「ノー」と言いながら、
僕とリオ先生はサイパン本島に帰りついたのでした。
完