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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 07/20
                    ~広告する女医。(旧題・抵抗する女医。)
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昼休みの医局。
それは普段ならとってもゆったりとした時間のはずでした。

そう…。
マヤ先生があんなことを言い出さなければ…。


マヤ「ねえ、セクシー心理学の読者さん、もっと増えないかな?

ユウ「……え?」

マヤ「やっぱり、広告しないとダメよね?」
ユウ「……まぁ、そうですね…」

すると、横で聞いていたリオ先生が言いました。

リオ「テレビCMでも出すか?



無理ですから。


ユウ「やっぱり、地道に他のメルマガで相互広告してもらうしかないですよ」

するとマヤ先生は言いました。

マヤ「それよ!

ユウ・リオ「え?」

マヤ「私たちは心理学に極限まで精通しているんだから、読者さんのハートをガッチリつかむ広告を作ればイイのよ!」






それで何回失敗したことか。



僕は口には出せない想いを、体中に溜め込んでいました。

リオ「いいじゃないか! 心理学を広告に応用するなんて、
すっごくトレンヂーだぜ!









トレンヂー。




僕の心の中の違和感を無視するかのように、マヤ先生とリオ先生はにこやかに盛り上がっていました。

マヤ「じゃあ、さっそくメルマガの広告を作りましょう」

リオ「そうだなぁ!」



僕は静かに言いました。

ユウ「いや、でもセクシー心理学の広告って、すでにあるじゃないですか」

マヤ「…え?」


そして僕はPCを立ち上げると、現在使われている広告を見せました。

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これをしばらく見ると、マヤ先生は言いました。


マヤ「最悪ね











作ったのはマヤ先生です。



マヤ「こんなんじゃ、めっちゃくちゃありがちじゃないのよ!?
これじゃミジンコも登録してくれないわ!









ミジンコに登録されても嬉しくないです。



するとリオ先生は、疲れきった目をして言いました。


リオ「ユウ…。君は何にも分かっちゃいないな








僕じゃなくて、マヤ先生です。



リオ「そうだな…。とりあえず、広告に使える心理学テクニックといえば…」

マヤ「そうね……」

リオ「そうだ!  ツァイガルニック効果なんてどうだ!?
 人は未完成のものに興味を引かれる、という理論だよ」

ユウ「…それをどう使うんですか?」

リオ「いいか? ちょっとパソコンを貸してみろ」


そしてリオ先生は僕からコンピュータを奪うと、キーを何個か叩きました。

リオ「……ほら、できたぜ」




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誤植にしか見えません。




マヤ先生は静かに言いました。

マヤ「……ちょっと弱いわね……」







ていうか頭が弱い人と思われます。




リオ「じゃあどうするんだ、マヤなら?」

マヤ「それこそ、今セクシー心理学で話している、心理的リアクタンス理論でイイくない?
人間は、強制されたことに抵抗して、その反対を選びたがるっての」


リオ「まぁ、確かにな。「今すぐクリック!」とか書いてあると、かえってクリックしたくなくなるもんな…」


マヤ「でしょでしょ? だから反対にするのよ」

リオ「するってぇと……。こんなカンジか?」


そしてリオ先生は、またキーを叩きました。

リオ「できたぜ、ほら」




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                     来るな。

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行きようがありません。



マヤ「リオ、アドレス書かないと、アドレス」


リオ「いや、アドレスすら書かないところに、より強く「来るな」の意味を持たせて







望み通り、一人も来ません。



マヤ「でもね、『来るな』ってのも、かえってありがちじゃないかなぁ?」

リオ「まぁ、そういわれてみればそうだな…。昔からCMとかで散々使われてきてるし…」


マヤ「だからね、少しだけひねって…。『1秒以上、見ないでください』って書くのよ」

リオ「あぁ、その方がいいな」

マヤ「ほら、貸してみてパソコン」

そしてマヤ先生は静かにキーを叩きました。

マヤ「そして、少しだけアレンジを加えて…」

ユウ・リオ「………」


マヤ「ほら」





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       1秒イジョウ
                   ミナイデクダサイ

            http://www.mag2.com/m/0000034430.htm
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怖いんですけど。





マヤ「そこに、それこそツァイガルニック効果も応用して、不完全っぽいアレンジを加えると…」

ユウ「…………」


マヤ「ほら、できた」




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     イチ秒イジョヲ
                みナいテくダちイ

              http:/ /www.m ag2.com/m/0000 0三430.hTm
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……………。






どんな恨みがこもってるんですか。



そう思っていると、リオ先生は言いました。


リオ「いいなぁ、コレ!! 俺だったらすぐにクリックしたくなるよ!





言っときますけど、
どこにも飛びませんよ。



マヤ「でしょでしょ、だしょー!?」

リオ「よしっ! あとはコレを他のメールマガジンに載せてもらって





どこも載せてくれません。





今日のこの時間を使えば、どれだけ充実したメールマガジンが書けるんだろうと考えながら、僕はその部屋を後にしたのでした。



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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 2002/07/30
                         ~奇妙な心理実験。
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以前のマヤ先生の思いつき以来、僕は毎日のように心理学書を読まされて読んでいます。
そして、つい昨日読んでいた本に、こんな内容が載っていました。

(以下、引用)

「顔面フィードバック理論」。
それは、人間は自分の表情から感情を判断してしまうという理論である。
すなわち、たとえ落ち込んでいても笑顔をしていれば楽しくなってくるし、また逆に理由がなくても悲しい顔をしていれば悲しくなってくるわけである。




…ここまでは、僕も実際に聞いたことがありました。
セクシーメソッド『スマイ・リング』としても、マヤ先生が応用していました。



実際に、催眠術電気刺激によって強制的に笑顔を作らせると、その人が楽しい気分になってきたという実験が存在している。



うんうん…。確かにそれは聞いたことがあるぞ…。

こんな風に、さわやかに理解できるのは久しぶりです。
僕は少しずつ気分がよくなりながら、その先を読んでいきました。


…しかし。
事件は、そのあとに起こったのです。


そしてつい最近、心理学者Strackによって、この顔面フィードバック理論が、最先端の技術によって示されたのである。



最先端の技術。

僕はワクワクしながら読み進めていきました。



まず実験者は、被験者である学生をAとBの2つのグループに分け、
「手が不自由な人の気持ちを知ってもらうため、口でペンをくわえてみてください」
と言った。





…………。

少しだけ違和感がしましたが、僕は先を読んでいくことにしました。



そして実験者は、
Aグループの学生たちには「ペンを口をすぼめるようにしてくわえるように」
Bグループの学生たちには「ペンを横にくわえるように」
と伝えた。


すなわちAグループには強制的に口をすぼめさせることで不満な表情を、Bグループには口を横に開くことで笑いの表情を取らせたわけである。
そしてその後に彼らに「そのままのポーズでマンガを読んでください」と伝え、その表情がマンガの感想にどのような影響を与えるか調べた。
すると口をすぼめていたAグループよりも、横にくわえていたBグループのほうが、「面白い」という感想を述べる率が多かった。








ちょっと待ってください。





催眠術よりも、電気刺激よりも最先端の技術が。






ペンを口でくわえる。







明らかに後退してませんか。



それに、すごくサラっと言ってますけど。



> Aグループの学生たちには「ペンを口をすぼめるようにしてくわえるように」



………。








Aグループ想像図




> Bグループの学生たちには「ペンを横にくわえるように」
















Bグループ想像図







実験会場、こんな人ばっかりですか。




それに、よく読むとその後の展開もスゴいです。
実験者が彼らに伝えたセリフが、


> 「そのままのポーズでマンガを読んでください」






「……………」









「どうちて?」





なぜ誰も、
こう突っ込まなかったのでしょうか。



そもそもの実験の名目が、


「手の不自由な人の気持ちを理解する」。




おそらく実験会場は、こんな人たちであふれていたことでしょう。



















これで理解できるのですか。



そして最後に、彼らはこんな結論をしています。

> そして実験者はその表情がマンガの感想にどのような影響を与えるか調べた。
> すると口をすぼめていたAグループよりも、横にくわえていたBグループのほうが、「面白い」という感想を述べる率が多かった。









A「…………」
B「…………」






どっちも、つまらないと思います。







世の中には色々な心理学実験があることを痛感しながら、僕は今日も静かにベッドに入ったのでした。



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