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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 6/6
                        ~出演させる女医。1
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「本番、5秒前、4秒前、3、2…」

「はい! 本日は、セクシーな精神科医、大和まや先生にお越し頂きましたー!」





























ぼく、ユウなんですけど。




いったい、どうしてこんな状態になってしまったのでしょうか。

僕の頭に、つい1時間前の記憶がよみがえりました。








それは、僕が唯一の安らぎの時間を、家で過ごしているときでした。

一本の携帯電話が、その時間を全て壊してしまったのです。


マヤ「ユウ先生、実は、ある番組に出ることになっちゃったの!!
不安だから、一緒に撮影現場に来てよ!!」





















一体、何をやったんですか。





僕は頭がクラクラになりながらも、必死に聞きました。

ユウ「ど…、どういうコトですか?」

マヤ「…ユウ先生? もしかして勘違いしてない?
たぶんちゃんとした番組の取材よ?」






















今、小さな声で『たぶん』って
言いましたよね。












すなわち、










断定はできないんですね。







マヤ「お願いだから、早く来てよ!」

あまりの剣幕に、僕は慌てて言いました。

ユウ「わ、分かりました! 撮影現場はどこなんですか?」


この後にマヤ先生が言った言葉を、いったい誰が予測できるというのでしょうか。























マヤ「G市にある、有名なラブホテル








































その時のユウの心理描写

















僕の頭に、しばらく空白の時間が訪れました。



ユウ「すみません…。ちょっと耳が遠いので…。
もう一度、お願いできますか?」







マヤ「だからぁ、G市にある、高名なラブホテル





















有名か高名かが問題じゃありません。

















いったいその撮影は、













どんな撮影なんですか。



ユウ「そ、それって、大丈夫なんですか…?」




マヤ「大丈夫!! 心配しなくても、ホテル代はテレビ局持ちだから


























心配の点が、3kmほどズレてます。








マヤ「ああー!! もしかしてヘンな想像してない!?





















するなと言う方が無理です。











マヤ「エ… 真面目な番組だから♪」

















今言いかけたのは、















エロですか。

エッチですか。

それとも、






エグイですか。







マヤ「内容に関しては、問題ないわよ!!
ちょっと心理分析するだけだから!!











ラブホテルで行われる心理分析って、








まさに史上最低の心理分析ですね。








マヤ「場所はしょうがないのよ…。私の仕事の都合で、
スタジオにまで行く時間が無くてね…。病院の近くで場所を探したら、ここしかなかったの。
ほら、分かるでしょ、あの雰囲気?
喫茶店とかより落ち着いて撮影できるじゃない?」














ここで、

ユウ「まあ、たしかにねぇ…」

と、話をあわせることができませんでした。










なぜなら。




























行ったことがないので、
分からなかったのです。(号泣)











マヤ「いい? 何でもいいから、とにかく来てよ!?
G市B町にある、『じゅてーむ』ってラブホテルだから!!
G駅からタクシーで来れば早いから、お願いね!」



一方的に切れる電話。


僕は、果たして行くべきかどうか、悩みました。





大体、そんなのに行きたいか?


ラブホテルで行われる、エッチらしき番組の心理分析



























とっても、行きたいです。





僕は、すぐに服を着替えると、G駅に向かいました。


そして今までに1・2回しか乗ったことのないタクシーを勇気を出して止めると、乗り込もうとしました。




そんな時です。








あれ、ユウじゃないか!?






聞き覚えのある声。

僕は自分の耳を疑いました。

リオ「俺だよ! リオだよ!!」




一番恐れている人に会ってしまいました。





リオ「偶然だなぁ! どこに行くんだ!?」
























それを聞きますか。













いったい、どこの世界に、












男一人でラブホテルに行く、なんて言える人間がいるでしょうか。



























リオ「ちなみに俺はな、『じゅてーむ』っていうラブホテルに行くんだ





























ここにいたよ。

































っていうか、


















え?






さあ、次から次へと襲い掛かる不幸!!
地獄の1時間が、ついに始まる!!


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 6/12
                        ~出演させる女医。2
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(前回までのあらすじ)
ラブホテルで撮影される番組に出演することになったマヤ。
「不安だから」という理由で、マヤに呼び出され急遽向かうことになったユウ。
大急ぎで駅に向かうと、そこには、同じホテルに向かうリオが…?



僕は慌てながら聞きました。

ユウ「リオ先生…、今、何て言いました?」

リオ「ん? 実はマヤに呼ばれて、ラブホテルに向かうんだ





















この人も呼んじゃったんですね。




リオ「ラブホテルだぜ!? 普通、女からラブホテルに誘うか!?
















ああ。






そういう勘違いをされてるんですね。




リオ「で、まったく興味がないから、ただの義理で聞くんだが、
君はどこに行くんだ?


ユウ「……。僕も、そこに行くんです」


リオ「……………………」

ユウ「…………………………………」









リオ「はっはっは。すまないが、今なんと?

















言われると思ったよ。



ユウ「そのラブホテル、『じゅてーむ』に行くんです」



リオ「………………ああ!!















言う前に言っておきますが、

その答えは違います。







リオ「清掃のバイトだろ?













だから、


違いますって。







ユウ「あのマヤ先生に呼ばれたんですよ!!」


リオ「………………………ああ!!













はい、

それも違います。





リオ「駅前のイメクラ『てぃんてぃん電車』のマーヤちゃんだろ?














違います。




っていうか
誰ですか、それは。





リオ「で、生まれて初めてラブホテルに行くんだな?












……………





それだけは合ってます。





ユウ「………一応言っておくのですが…。僕とリオ先生は、恐らく同じ目的で
そのホテルを目指していると思います」

リオ「なんだって?」






5分後に説明が終わったときの、リオ先生の消沈ぶりは、見てる僕の涙を誘いました。




リオ「……そうか……」

ユウ「すみません……」

リオ「いや、俺は心が広いから、あえて許そう















…っていうか、

なぜ僕が謝ってるんですか。


リオ「まぁ、そのラブホテルでの心理分析ってのにも興味があるしな…。行くか!!」

ユウ「はい!!」

リオ「そうと決まったら、タクシーだ!!」

リオ先生はすぐにタクシーを止めます。

僕たちは大急ぎで乗り込みました。

運転手「どちらまで?」

リオ「ラブホテル『じゅてーむ』まで!!

運転手「………………」

ユウ「…………………………」

リオ「…………………………………………」


三人「………………………………」
























運転手さんの気持ちが痛いほど伝わってきました。







テレパシーって、このことなんでしょうか。











無理もありません。

男二人でラブホテル目指してるんですから。






リオ「あ、あああ~。大変だよなあ、撮影ってのもお」















…先生、

これみよがしに傷口、広げてますよ。




運転手「は、はぁ…。撮影ですか…」















絶対に誤解してるよ、このひと。





そんなときに、僕の携帯がけたたましく鳴り響きました。

リオ「うおっ!?」

ユウ「は、はい!!」

電話の向こうから、聞き覚えのある声が響きました。

マヤ「遅いよー!! 何してるの!?」
ユウ「す、すみません!!」
マヤ「もうすぐ撮影が始まっちゃうよ!! あ、男優さんが来ちゃった!!」



ユウ「はい!?


マヤ「ちょっと!! 耳が遠いの!? それとも電話が遠いの!?

























先生の存在が遠いです。




マヤ「何でもいいから、はやく来てよね!」

マヤ先生は一方的に喋ると、やはり一方的に電話を切りました。

リオ「急がないとな…」

ユウ「はい…」




すると運転手さんが、しみじみと言いました。



運転手「ジャーマネさんですか?






















なぜ業界用語なんですか。




我々は、ほとんどの精神力を消耗しつくしながら、何とかホテルにたどり着きました。

運転手さん「………2840円になります」


リオ「ん。釣りは、いらないよ


















今さらカッコつけても遅いです。



支払いを済ませると、我々は大急ぎで中に入りました。

さあ、そこで見たものとは一体!?
待て明日!!


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 6/16
                        ~出演させる女医。3
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(前回までのあらすじ)
ラブホテルで撮影される番組に出演することになったマヤ。
「不安だから」という理由で、マヤに呼び出され急遽向かうことになったユウとリオ。
ホテルにたどり着くと、そこには何と…。


「おはようございまーす」
「おはようございまーす」

我々を迎える、スタッフの『おはようございます』攻撃。

僕は完全に気圧されしてしまいました。


ユウ「な…何の番組ですか?」

マヤ「えっと、何ていったかな…。深夜の…。ワ…ワン…ワンダ…」

リオ&ユウ「ワンダフル!?


すると、後ろの方から声が聞こえました。

ディレクター「は、はじめまして…。トゥナイト2のディレクターのマツモトです…」






















トゥナイト2じゃん。








ディレクターさん、めっちゃくちゃ居心地悪そうじゃん。



リオ「ねえねえ、ワンギャルは!?






















リオ先生も、話聞こうよ。



ディレクター「じゃあ、そろそろスタンバイお願いします…」

所在無く言うディレクターさん。僕は、この人に妙な親近感を覚えました。

そんなときです。

マヤ「はーい♪」

マヤ先生は元気よく答えると、僕とリオ先生の方に向き直って言いました。

マヤ「さ、ジャンケンするわよ



















えっと。






すっごく、やな予感がするんですけど。




マヤ「負けた人が、出演ね
























ちょっと待って下さい。


聞きたいことが、100コくらいあるんですけど。




リオ「ぬわんだってえ!?」

ユウ「ど、ど、どうしてそうなるんですか!?」

するとマヤ先生は、本当に無邪気な少女の顔で、言いました。

マヤ「だって、ジャンケンが平等でしょ? イス取りゲームじゃ場所取るし…」




















論点がズレてます。




ユウ「ど…。どうして僕らが出なきゃいけないんですか?」


マヤ「だって、すでに私たちって、一蓮托生じゃない






















『一蓮托生』…いちれんたくしょう
命を託し合って、一つのことに望むこと。運命共同体。























いつの間に託されちゃったんでしょうか。










老人「トモコさんや、ワシのタンスのお金、どこにいったんじゃ?」

嫁「あ、おじいちゃんが持ってると危ないから、銀行に預けておきましたよ。うちの預金として」

老人「……………」

























おじいちゃんの気持ちが、痛いほど分かりました。




マヤ「だって『大和まや』は、3人の合同ペンネームでしょ?」




























えっと。












何と突っ込めばいいんでしょうか。













初級編



今、はじめて聞いたんですけど。







中級編



『ユウ』『リオ』の一文字も入ってません。












上級編









ていうか、印税は独り占めじゃん。





マヤ「分かった? 『大和まや3号』?


















ああ。

やっぱり、リオ先生より格下なんですね。





リオ「ちょっと待てよ、マヤ! そんな話をいきなり言うなよ! だいたい君は…」



リオ先生、もっと言ってください。

僕は心の底から、リオ先生を応援しました。



マヤ「インタビュー受ければ、あの綺麗なリポーターさんと、二人っきりよ?」



リオ「ほんといいヤツだな、マヤ! 俺も前から…





リオ先生、もう言わないでください。

僕は心の底から、リオ先生を恨みました。





マヤ「じゃあ、行くわよ! ジャンケン…」

リオ「ポン!!」

ユウ「ポ…ポン!!」




















反射的に出してしまった、パー。




















「はい、本日はセクシーな精神科医、大和まや先生にお越し頂きましたー!」











それがまさか。









僕の出演という、地獄への片道切符になるとは思いもしませんでした。








さあ、どうなるユウ!?

次号、テレビ編の全ての決着が!!


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 6/25
                        ~出演させる女医。4
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(前回までのあらすじ)
ラブホテルで撮影される番組に出演することになったマヤ。
「不安だから」という理由で、マヤに呼び出され急遽向かうことになったユウとリオ。
ホテルにたどり着くと、マヤはジャンケンすることを提案する。
負けたユウは、「大和まや」として番組に出演することになった…。

レポーター「それでは早速なんですが、セクシーなベテラン精神科医の大和まやさん













僕は、セクシーでもなければベテランでもないし、

何より




大和まやさんじゃありません。


そう思う僕を尻目に、レポーターさんは話を続けます。



女性心理についておうかがいしたいのですが」



















そんなの、僕が知りたいです。





「ほら、女性はよく、昼間は大きなバッグを。
夜は小さなバッグを持っているじゃないですか」











そうなんですか。


レポーター「それは、なぜなんでしょうか?」









なぜなんでしょうねぇ。



僕は逃げ出したくてたまりませんでした。

そんなときです。ふっとカメラの後ろを見ると、マヤ先生がノートをこちらに向けていました。
そしてそこには、次のように書いてありました。

『大きなバッグは、色々な能力を持っているというアピール』


僕は急いで、その通りに読みます。

ユウ「えっと、大きなバッグは、仕事において色々な能力を持っているというアピールを表しているんです」

レポーター「ははぁ…。なるほどぉ」


レポーターさんは感心しています。
マヤ先生は僕の方に、Vサインをしました。

マヤ先生…。

本当にあなたは…。














わざわざ書いてるくらいなら、どうして自分で出ないんですか。




心でそう突っ込む僕を尻目に、マヤ先生は得意げな顔で僕を見つめています。


レポーター「それでは、夜に女性のバッグが小さいのは?」



僕はまたマヤ先生の方を見ました。

するとマヤ先生のノートには、こう書いてありました。


『さみしーから』












先生。

もう書くのが面倒になっちゃったんですね。



ていうか、



いったい何文字が省略されてるんですか。



僕は、連想ゲームのように必死に想像を巡らせました。

レポーター「まや先生?」

ユウ「………。恐らく、小さいバッグというのは、中に少ししかモノが入らないことから、現在の自分の心の空虚感を表しているんではないかと…。すなわち「さみしい」という気持ちを男性にアピールすることで、守って欲しいという欲求を表しているのではないかと思われます」

レポーター「はぁ…。さすがですねぇ」

ふとマヤ先生の方を見ると、先生は「死ぬまで私に感謝しなさいね?」という顔をしていました。










はい。






しませんよ。


レポーター「さすが、大和まや先生ですねぇ」


僕は少しだけ気持ちの余裕が出てきました。

よく見ると、このレポーターさん、すっごい美人のお姉さんです。




そしてよく考えると、ここはラブホテルです。


レポーターさんは、うっとりとした顔で僕の方を見つめています。




「もしもたった一つだけ~、願いがかなうなら~」


突然僕の頭に、浜崎あゆみの歌が流れました。




「き~み~は~、何を~、願う~」








そう、今の僕なら。









マヤ先生とリオ先生とディレクターさんとカメラさんと音声さんが消えてくれることを願います。





もし、ささやかなその願いがかなったら。



ユウ「レポーターさーん!!

レポーター「ああっ! ダメっ! 私には主人が…。でも、こんなにさわやかな大和先生なら、私、いいかも…

ユウ「うにゃにゃー!!





ユウ「ぐふっ…」

レポーター「ま、まや先生!?」

ユウ「え!?」

僕は危うい想像から、すぐに現実に引き戻されました。


レポーター「まや先生は、瞑想にふけるのがお好きみたいですね」









瞑想っていうより、妄想でした。



レポーター「それでは最後に、バッグのタイプによる、女性の攻略法を教えて下さい」

ユウ「は!?」

レポーター「女性の攻略法です」









僕、攻略法って言ったら、













スーパーマリオの攻略法くらいしか知りません。



レポーター「ほら、例えばブランドもののバッグに身を包んだ女性っているじゃないですか。
ああいった女性は、ここを攻められると弱いですとか…」











攻められると弱いって…。









…ワキとか?



僕は自分の貧困な発想力を嘆きながら、マヤ先生の方を見ました。







すると、すでにマヤ先生はそこにはおらず、かわりに1枚のスケッチが立てかけてありました。





そこに書いてあった絵(4分の1サイズ)(再現図)














そこに書いてあった絵(2分の1サイズ)


















そこに書いてあった絵(原寸大)






僕は、一瞬頭の中がクラクラになりました。



マヤ先生。









あとは任せるということですか。


僕は、隣にいたリオ先生の目を、チラっと見ました。

リオ先生はそれに気付くと、トイレの方を指差しました。






……………。

マヤ先生。




僕とトイレと、どっちが大切なんですか。







もちろん、トイレですよね。

僕はそこまでセルフ突っ込みをすると、あとは記憶が真っ白になってしまいました。



~~~~~~~~~~~~~(その日の夜)~~~~~~~~~~~~~~

マヤ「ほらー! ユウ先生が出てるわよー!!」

リオ「やっぱりカメラ映りは、ホンモノに輪をかけて悪いなぁ」

ユウ「……………」






その後にまったく喋れなかった情けない姿はカットされ、テレビでは、カンニングをしながら流暢に話している部分だけが放映されていました。



その後数日間は、テレビ恐怖症になってしまったのは、言うまでもありません。

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