「魔人探偵脳噛ネウロ」について。

あなたは、週刊少年ジャンプに連載されていた、「魔人探偵脳噛ネウロ」というマンガをご存じでしょうか。


今夜はそんな話をご紹介します。
内容的に色々とオトナかつハードな表現がありますので、敏感な方は読んではダメです。

あらためましてこんばんは。ゆうきゆうです。

さて、この「魔人探偵脳噛ネウロ」というマンガ。

以前にほんのちょびっと紹介したことがあるのですが。

このマンガが最近、最終回を迎えました。

このマンガ。

一応、タイトルに「探偵」とある通り、基本は探偵マンガです。一応、推理モノです。

一応は殺人が起こり、一応はトリックがあり、一応犯人を見つけるんですが。

たぶんマンガとしては、「推理の過程を楽しむ」というより、「ムチャクチャな犯人たちを、主人公である「魔人ネウロ」が裁いていく」というのが、
正当な楽しみ方なのかもしれません。

ちなみに「あなたが犯人だ」という根拠は、一般的な推理マンガでは、証拠や手がかりから見つけていくことも多いものです。
しかしネウロでは、「犯行現場でこっそりのぞいていたら、あなたが犯行をしていたから、あなたが犯人です」という解決編もあり、とりあえず推理させる気を明らかに放棄しているマンガではないかと思います。

さてまぁ、繰り返しになりますが、とりあえず最初は「ちょっと変わった推理モノ」というマンガだったわけですが。

少年ジャンプの他のマンガの例に漏れず、途中から明らかなバスト バトルマンガになっていきました。

そのため、今までは基本一つの巻に3つほどの殺人事件が収録されているのが普通だったのですが、途中から一巻まるまる使って敵ひとりとバトル、などのようになってきました。

一般的なバトルマンガというのは、ハラハラドキドキな展開なのが普通なのですが。

ただ、ネウロは「魔人」。

たいする敵は、基本的には「人間」。

なんだか戦う前から「いやどうせ魔人の勝ちでしょ?」と思えてしまう部分はあり、読者からしてみれば、ある意味安心して見ていられる展開ではありました。
特にネウロは「魔界777ツ道具」というものを所有しており、いくらでも後づけで 隠しワザが飛び出して来そうな雰囲気も濃厚にしており、それがさらに読者を安心させる効果があったような気がします。

個人的にバトル一つ一つがイマイチ盛り上がらなかったのも、それが原因なのかもしれません。

そしてそのままバトルを続け、そのまま最終回を迎えたわけです。

ですのでもしかして、結構な読者がバトル展開で離れてしまったのではないかと思うのですが、それでも最後まで読むと、それはそれでまた違った味わいのあるマンガではありました。

 

ちなみに最終的な敵の大ボスが、「シックス」という人物。

この人物は、「とにかく悪い」人間です。

こう書くと自分でもアホっぽい表現なのですが、とにかくそう表現するのが一番な人間ではないかと思います。

 

たとえば彼は、ネウロを招くのに、こんな手法を使います。

ある人間に、毒を飲ませて、血を吐かせ、そしてそれで自分の名前を地面に書かせたのです。

ヒドイ!

ヒドイですね!

さらに彼は話します。

何と、その行動をやらせるために、彼はその本人の娘と妻を人質に取っていました。

なおかつその行動をしたにも関わらず、「彼は君たちを見捨てた」と言って、妻と娘を殺してしまったそうなのです。

さらに彼は「好きなんだ、生まれついて…、そういうのが」と言います。倒置法を使ってまで「好き」を一番に言いたいほど好きなようです。

うむ。残酷ですね!

シックスは、どうしてこんな人間なのでしょうか?

それはこんな風に説明されています。

 

彼は「定向進化」という言葉を話します。

たとえばウマは、速く走るウマだけが生き残り、それを繰り返してきた結果、より速く走る生き物として進化してきました。

このように、一つの方向に進化していくのが「定向進化」なのです。

そこで!

このシックスの家系は、「より悪い」人間にだけ、家を継がせてきたそうです。

うん。
これを読んでいるあなたの心に、色々と言いたいことはあると思うんですが、とりあえず続けます。

 

すなわち「悪意の定向進化」が7000年も続けられて、まさに彼は「悪意のエリート」として生まれたのです!

すごいです!

………。

 

………。

いや、本当にちょっと待って、と。

うん。

なんていうか、それを繰り返して、よく家系そのものが持ったな、と思うんですが。

 

それ以前に途中段階で、「悪い人間に跡を継がせる」という家訓を、悪い人間がちゃんと守るのかどうか心配です。

「先祖代々続いてきた伝統をブチ壊してやる!」という悪い人間がいても不思議ではないと思うんですが。

意外にみんな、家訓を守る、いい子ちゃんなようです。

 

………。

ていうか、ですよ。

ここに来て思うんですが。

 

この行為は確かに残酷ではあるんですが。

7000年も悪を定向進化させて来た割には、なんていうか、「え、そのレベルの悪でいいの?」と思う自分は、それ以上に残酷なんでしょうか。意外にSなんでしょうか。

だってほら、もっとほら、色々と色々とありませんか?

ありますよね?

なかったらゴメン。自分は色々と思いついてしまう。

さらにシックスの行った悪事として、

失敗した部下に、ノコギリでお腹を切らせる

というものがありました。

いや、それは確かに悪い!ヒドイ!なんですけども。

なんだか地獄の描写とか、江戸時代の刑罰で、そういうの、あった気がします。

シックス家7000年の境地は、1600年ころの日本で達成されちゃってます。

また何より彼はこう言います。

「ほら、こんな風に悪いですよ?」とアピールすること自体、「普通の思考が同居してないと無理」なような気がするのです。

何が悪か、何が悪ではないか、という判断基準と言いますか。

逆に言えば、本当の意味で悪に進化したら、「それが悪だ」という認識すら持たないのではないか、と。

たとえば人間はサルに比べて「知性的である」などの方向に進化してきたわけですが。
それって言うまでもなく当然ですよね。認識すらしない。かえって、

「頭がいいんだ、生まれついて…、サルに比べて」

なんて言い出す人間がいたら、逆に知性的にダメなんじゃないか、という気がします。

 

 

ちなみに主人公であるネウロは、「筋金入りのドS」として紹介されています。

では、どのように彼はSなのでしょうか?

一応、「叩く、踏む」などの行為は基本的に抑えているのですが、おそらく作中で、彼の一番のS行為として表現されているのは、この行為となります。

 

 

自分のクツをなめさせる。

彼はシックスの副官である女性にこの行為をさせることにより、シックスの寝取られ属性を刺激 プライドを粉々に打ち砕きます。

この「究極のS行為こそが、クツをなめさせる」というのも、なんだか「え、ほら、もっと色々とあるのでは?」と思ってしまいます。

 

というわけで、そんな探偵バトルマンガ、ネウロ。
「なるほどぅ」と思う部分もあり、1ページごとにグイグイ引き込む魅力もあり、いい意味で突き抜けたマンガです。

興味ある方はぜひ。

 

ちなみに自分の家系は、バスト方向に定向進化してきたんじゃないかと時に思います。
自分の父や祖父は間違ってもバスト言いませんし。定乳進化。

「自分だけ微妙」という考えから「定向進化」という言葉で目をそらしつつも、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

松井 優征
集英社
おすすめ度の平均: 4.5

5 B級ホラ−漫画
5 excellent!!
3 独創性・面白さはよし。ただし日本語が…
4 もしや
5 これは単純娯楽漫画です