精神科医ユウの日記 <70%ノンフィクション 30%ユウの妄想>
モーニング女医。~指であそぶ女医。24


<前回までのあらすじ>

ついに始まったタイピング勝負。
相手が打ち込んだ時間+3秒の間に、同じ言葉を打ち込まないと失格!
そんな中、アスカもリオも敗退する。
残ったのはマヤとユウだけ! どうなる勝負!?


<本編>

リオ先生は、テーブルに突っ伏したまま、動きません。
アスカ先生は、惚けた顔で天井を見つめたままです。

僕は思いました。

この時点で、2位確定。

確か。

確か、勝負前のルールでは。

上位の人間は、自分より下位の人間に、何でもいいから一つ言うことを聞かせることができる。

すなわち、ここで万が一。

いや万がいくらかは、全然断言できないんですけど。

もし、マヤ先生に負けたとしても。
リオ先生、アスカ先生に何でも言うことを聞かせることができるんだ。

リオ先生に食事をおごらせることも可能だし。
アスカ先生に、手作りのお弁当を作らせることも可能だ。

いやいやいやっ!
何でもいいんだ。

どうせなら、あの。もっとすごい。
僕の頭の中に、激しいもん想(もんもんとした妄想のこと)が湧き上がりました。


マヤ「勝負が終わったら、あなたはどうなると思う?

ユウ「…は?」

その瞬間、僕はあわててマヤ先生の方を見ました。

マヤ「当たり前だけど、勝負が終わる=あなたが負けるという意味で
使っているんだけど


ユウ「………」

マヤ「とにかく、その場合にどうなると思う?

ユウ「………………………」



マヤ「自分から勝負を挑んで!」

うっ。

マヤ「それも私を待たせて!」

ううっ。


マヤ「ここまで手間ヒマかけたぶん、もんんんんんのすごいことさせてあげるわ!」


ううううっ。

マヤ「精神崩壊おこして、誰かを奴隷にしようなんて考えた瞬間に体がネズミのように縮こまるくらいにねぇ!


ううううううううううっ。


………って現在この時点で、すでにその傾向はあるんですけど。

僕はそう思いましたが、マヤ先生の迫力に口をつぐみました。


マヤ「さぁ、心と指の準備はできてる?」

ユウ「………」


そういえば。

僕って今まで、ほとんど何もしていない。


今までにやったことといえば、最初にちょっと打った以外は、

『しぎゃくですよ』って言ったくらいです。


何もしていないのに、あっというまに決勝戦。

これってもしかして、高校野球のシード校みたいな扱いなのでは。

そう思った瞬間、マヤ先生は心を読んだかのように言いました。


マヤ「あなたがシード校なら、私はサド校


あっちの勝ちだー。


マヤ「ここまでほっとんど何もしなくて。そして万が一、いえ億が一、いえ兆が一、いえ


もういいですから。

マヤ「もしそれでユウ先生が私に勝ったら」

ユウ「はい」

マヤ「それこそ、トンビに油揚げ、よねぇ」

ユウ「………」

マヤ「漁夫の利、とも言うかしら」

ユウ「………」

マヤ「そんなんで、勝っても誇れるの?

ユウ「うううっ!


来ました。

さっそくの精神攻撃です。
これに負けていたら、決して勝つことはできません。

マヤ「ねぇ、気がついた? そもそも私がどうしてリオとアスカをこの勝負に呼んだのか

ユウ「…そういえば…」

僕はそう思いながら、リオ先生とアスカ先生の方を見ました。

二人は相変わらず、茫然自失の状態です。



正直に言います。


このとき、実はですね。


僕は少し前から、アスカさんの胸元が気になってしょうがありませんでした。
アスカ先生はただでさえグラマーなのですが、今日のブラウスは胸元が大きく
開いているため、かなり目線が引かれてしまうのです。


マヤ「どんな勝負でもね、大切なのは精神。
タイピングであっても、それは同じことよ」

ユウ「…は、はいっ!」

今この瞬間、アスカさんの服にとても精神的に乱されてるわけですけど。


マヤ「ひとつの目的はね、あなたの精神的な実力を見極めるため。
二人の変則的なタイピングを見ても、あなたはほとんど動揺しなかった。
その点は合格よ」

ユウ「………」

まぁ、あの。
呆然として、何もできなかったという方が正しいと思います。

マヤ「そしてね、もうひとつの目的こそが」

ユウ「は、はい…」


マヤ「リオとアスカはね、保険だったのよ


いや、その保険、自分で倒しちゃってますよね。


そう思うまもなく、マヤ先生は微笑みました。

マヤ「この世の中に、意味のないものなんかないの

ユウ「…は?」

マヤ「そう。すべては伏線なのよ。大事なのは、あなたが気がつくかどうか


ユウ「……?」

僕は、きょとんとした顔でマヤ先生の顔を見つめます。

すると先生は、にこやかに微笑みながら言いました。

マヤ「うふふふ」

ユウ「………??」












だから、あなたは
負けたのよ。















………は?









僕が画面上を見つめると。

すでに画面いっぱいに文が打ち込まれていました。


言うまでもありません。

ただでさえ音の少ないマヤ先生の打ち込み。
さらにアスカ先生の胸に気を取られていた僕は、画面上の変化に気がつかなかったのです。


マヤ「これが、銀座の夜に極めた
  指づかいよ?


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モーニング女医。~指であそぶ女医。25
これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。


<前回までのあらすじ>

ついに始まったタイピング勝負。
相手が打ち込んだ時間+3秒の間に、同じ言葉を打ち込まないと失格!
そんな中、アスカもリオも敗退する。
残ったのはマヤとユウだけ!

しかしユウはアスカに見とれて、マヤの文を打ち込みを見逃す…。

どうなる勝負!?


<本編>

マヤ「リオは、『おとなの会話』と『おとなの単語登録』。
アスカは、『ボイス・タイピング』と、その応用技『おやじ・ボイス』」
それぞれがタイピングの必殺スキルを使ったわね」

最後のひとつは、マヤ先生が強制的に使わせたと思うんですけど。
その上「必殺」といいつつも、死んだのは本人たちだと思うんですけど。

僕は心の中で、律儀にそう突っ込みました。

マヤ「だから私も、必殺スキルを使おうと思うの」

ユウ「………」

マヤ「私のスキルは、なんだと思う?



僕はただ、画面を見つめます。

画面いっぱいに打ち込まれた文字。

そこには、こんな文が書いてありました。


マヤ>僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。>ユウ(50秒)




何ですか、この電波系な言葉の繰り返しは。

しかしそう思っているヒマはありません。

本来なら50秒+3秒の53秒で打てばいいわけですが、僕が気づかなかった10秒弱の分があります。
すなわち40秒強で、これらを打ち込まないといけないわけです。

僕はただ必死に、キーを叩き始めました。


マヤ「あらあら? さながら、夏休み最後の日ってとこかしら?」

マヤ先生は、にこやかに言います。

マヤ「『今日のユニフォームは、セクシーな格好だから』。
   アスカにはそう言っておいたの」

ユウ「……」

マヤ「僕は負ける。これが全部で32個。そして時間を使ってしまったでしょう? すなわち1個につき1.5秒弱で打ち込まないといけないのよ。無理でしょ?」

ユウ「…………」

マヤ「もちろん、コピー&ペーストは使えないわよ?」

ユウ「………」

僕はただ打ち込みます。

僕は負ける。僕は負ける。

マヤ「まぁ、勝負にすら、ならなかったわねぇ」

どんなに挑発されても、答える時間はありません。


僕はただただ打ち込み続けます。

僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。


マヤ「……うふふ……」

ユウ「………………………」

僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。



マヤ「………」

ユウ「………………………………………」

僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。





僕は、負ける。



ユウ「……僕は、負ける……」


タン。

リターンキーを押すと、画面上には、こう表示されました。


ユウ>僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。
僕は負ける。僕は負ける。僕は負ける。(52秒)




マヤ「あら? 間に合っちゃった。なかなか、やるわね、ユウ先生」

ユウ「………………」


僕はしばらく、言葉を発することができませんでした。


ほとんどの方がご存知だと思います。

心理学には「自己暗示」というものがあります。
一定のキーワードを語りかけることで、無意識に気持ちをそちらに誘導することです。

さらに暗示には、一定の条件が必要です。

ただ単に言葉を語りかけただけでは、理性の壁がジャマをして、潜在意識にまで届きません。

その壁を破るのは…。


マヤ「壁を破るのは」

マヤ先生の声が響きます。

マヤ「『驚き』。そして『繰り返し』よね?

ユウ「………」

マヤ「まさか私の作戦が、アスカの洋服だけだなんて、思わないよね?」

ユウ「………………」


アスカ先生に気を取られ、そして突然に画面を見て気がついた、文字群。
これは十分な驚きに値します。

そして限られた時間の中のタイピング。
理性がどうのこうの言ってる場合ではありません。
ただ単に、何も考えず言葉を打ち込むしかない、その状況。

暗示にかかるのに、十分すぎるほどの条件がそろっていました。



マヤ「これこそが私の必殺スキル、『洗脳・タイピング』よ」




今回のタイピング勝負、まともなタイピング方法が出たことがない。


僕は心からそう思いました。



マヤ「ご気分は、どうかしら?」

ユウ「………………………」

僕は頭を横に振ります。


マヤ「一度インプットされた暗示は、そう簡単には消せないわ





そ、そんなこと、
ありません!




僕は思わず、そうつぶやきました。




するとその瞬間、マヤ先生は笑いながら言ったのです。





僕は!
























負ける。


頭の中に、その言葉が瞬時にこだましました。


(つづく)


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これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。

<本編>

僕は負ける。

この言葉が、頭の中で何度も回転していました。

マヤ「打ち込めたのは、誉めてあげるわ」

ユウ「………」

マヤ「その打ち込み、親指シフトよね?」

ユウ「は、はい…」

マヤ「確かにその打ち込み方法がなければ、それだけの早さは、無理よねぇ」

ユウ「………」

誉めてくれているんでしょうか。
そう思う僕に、マヤ先生は言いました。

マヤ「でもね。それはあなたの首を絞めることになるの

ユウ「……」

マヤ「ローマ字入力は、1文字に、1打鍵か2打鍵

ユウ「……?」

マヤ「かな入力も、濁点などに1打鍵使うから、やはり1文字に、1~2打鍵

ユウ「は、はい…。でも…」

マヤ「でも、親指シフトは、どの入力であっても、完全に1打鍵

ユウ「………」

マヤ先生は何が言いたいのか。
しかし同時に、僕の心臓が、強く強くリズムを刻み始めました。


マヤ「……まだ分からないの?」

ユウ「………」

マヤ「暗示は、言葉を刻み込む。全部が完全に1打鍵の場合、
言葉で発するリズムと、打ち込むリズムが、完全に一緒になる

ユウ「………」

マヤ「リズムに乗って、語呂合わせを覚える学習法と一緒。
その暗示は、それだけ心の奥底に、深く深く染み入っていくわ

ユウ「………!!」

マヤ「いいわよ? 今からローマ字入力とかに切り替えても。
『僕は負ける』なら、『BOKUHAMAKERU』。
親指シフトで『ぼ・く・は・ま・け・る』と、打ち込むほどは強く心に刻まれないんじゃないかしら」

ユウ「………」

マヤ「もっとも、今でさえギリギリなのに、それをしたら確実に負けると思うけど




まさに、抜け出せない袋小路。
僕はその状態に気がつき、愕然としました。


マヤ「決まったかな…?」

先生は静かにつぶやきます。

ユウ「ま………」

マヤ「え?」





ま、負ける
もんかぁ!!!




僕は叫びます。



マヤ「へぇ…」

僕はとにかく、頭の中の言葉を追い払おうとしました。

マヤ「さぁっ! 早くあなたのお題を打ちなさい! 負けるユウ先生!?

マヤ先生の言葉が、僕の心に染み入ります。っていうか、えぐります。

その瞬間、僕は思いました。

そうだ。
方法は、ひとつしかない。

僕はすぐに画面に向かいました。

ユウ>僕は負けない。

マヤ「あら…?」

ユウ>僕は負けない。僕は負けない。僕は負けない。僕は負けない。
僕は負けない。僕は負けない。僕は負けない。僕は負けない。
僕は負けない。僕は負けない。僕は負けない。僕は負けない。
僕は負けない。僕は負けない。僕は負けない。>マヤ(45秒)


そうです。
もう、これしかありません。


まさに自己暗示。それも逆の暗示です。

自分の打ち込みを、同時に自分への暗示に使ったのです。


僕はそのまま、マヤ先生の顔を見ました。

マヤ「うふふふふふ

ユウ「…!?」

マヤ「忘れてるの?」

ユウ「は?」

マヤ「暗示は、単語で刻み込まれる。たとえ『負けない』と否定文にしても、
『負け』という言葉は、あなたの心の中に深く深くしみこんでいくのよ


ユウ「………!!」

そのときの僕は、それに気がつきませんでした。

で、でも!

そうです。
これは同時に、攻撃にもなっているはずです。


マヤ先生にだって、この言葉の打ち込みは、どんなに少なくても、暗示になるはず。

確かに先生の一人称は、「僕」ではありません。

しかしたとえどうであっても、一人称としての文を書く限り、
無意識に自分のことを重ねてしまう可能性も、なきにしもあらず…




そう思った瞬間です。

マヤ先生は、こんな風に打ち込んでいました。

マヤ>しもべは



変換



マヤ>僕は




「しもべ」で変換してる。



しもべは、まけない。

しもべ」と「負け」という単語がリンクしてイメージされても、

マヤ先生自身には痛くもかゆくもありません。






あなたは、
私には勝てないわ。




なんか今、僕も心からそう思っちゃいました。



どうなるユウ!?


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これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。


<前回までのあらすじ>

ついに始まったタイピング勝負。
相手が打ち込んだ時間+3秒の間に、同じ言葉を打ち込まないと失格!

そんな中、マヤは「僕は負ける」という言葉を何度もタイピングさせる
「暗示タイピング」を使用。

ユウはどうする!?

<本編>

その後。

「僕は負ける」
「ユウは負ける」
「ユウは敗者決定。一生マヤの奴隷」
など、かなりハードな言葉をさんざん打つことになりました。

マヤ「さぁっ! ネガティブなイメージに押しつぶされなさい!

ユウ「ああああっ!」

僕の気持ちは、崩壊寸前です。




その瞬間、僕は思いました。

そうだ。

なんで僕は気がつかなかったんだ。



アスカ先生の、精神に響く、ボイスタイピング。
リオ先生の、脳髄を溶かす、お色気タイピング。
そしてマヤ先生の、心を凍らせる、暗示タイピング。

全員が、何らかのスキル使っていた。





こうなったら、僕も、やるしかない。

僕は前の晩に、徹夜で考えたスキルを、ついに使うことに決めました。





ユウ「ひ、秘技!」

マヤ「?」

ユウ「秘技、読めない漢字!

マヤ「………………」

ユウ「………………」



マヤ「なんだか、秘技の名前だけで全貌が判明してるわね




心から同感です。


マヤ「いいわ。じゃあハンデ。あなたの打ち込みの時、私は画面を見ない

ユウ「………」

何て屈辱。

微妙に快感ではありましたが、それについてどうこう言う余裕はありません。

僕は急いで打ち込みます。




ユウ>不倶戴天魑魅魍魎紺碧霹靂跋扈>マヤ(16秒)


しかし先生は、ただにこやかに笑うと、打ち込みを始めました。

マヤ>ふぐたいてんちみもうりょうこんぺきへきれきばっこ

変換

マヤ>不倶戴天魑魅魍魎紺碧霹靂跋扈>ユウ(15秒)


マヤ「これでいいの?







あっという間に、破られました。

マヤ「………」

ユウ「………」

先生は静かに打ち込みました。


マヤ>まさかこれで終わり?>ユウ(4秒)


何も言い返せない。

ユウ「ままま、まだあります!」

マヤ「じゃあ、どうぞ」

僕はマヤ先生の文を打ち込むと、あらためて言いました。


ユウ「秘ぎ…」

マヤ「早くしなさいよ


技の名前すら言わせてもらえません。

僕はすぐに打ち込みました。






ユウ>本曰の牛後ハ時から、しんゅじく駅で侍ち合わせしたよね?
それなのに、どうして遅亥リするの? 何なのその熊度は?>マヤ(30秒)








ユウ「ひ、秘技、『文脈効果、乱れうち』!




その瞬間、その場所にいた全員の時間が、凍ったように感じました。


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これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。


<前回までのあらすじ>

ついに始まったタイピング勝負。
相手が打ち込んだ時間+3秒の間に、同じ言葉を打ち込まないと失格!

そんな中、マヤは「僕は負ける」という言葉を何度もタイピングさせる
「暗示タイピング」を使用。
ユウは対抗して、独自の技を出す! 勝負はどうなる!?

<本編>

あらためて、画面を見つめます。


ユウ>本曰の牛後ハ時から、しんゅじく駅で侍ち合わせしたよね?
それなのに、どうして遅亥リするの? 何なのその熊度は?>マヤ(30秒)



これこそが秘技、『文脈効果、乱れうち』。

人間は、文を読むとき、つい文脈から言葉を判断してしまいます。

そのために個々の単語については、多少の間違いがあっても、脳内で補完して
しまうのです。
これを心理学では「文脈効果」と言います。

もちろんこれは、打ち込みを見られたら、バレバレです。
すなわち「打ち込みを見ない」というマヤ先生のハンデがあってはじめて
成立する技。

僕はすべてをこれに賭けて、マヤ先生の方を見つめました。

先生は打ち込み終了に気づくと、目を開け…。

そして、微笑みました。


マヤ「秘技、『誤植』?


バレバレです。


技の名前が違いますが、訂正する気も起きませんでした。

マヤ「『本日』じゃなくて『本曰』。
『午後』じゃなくて『牛後』。
『八時』じゃなくて『ハ時』。
『しんじゅく』じゃなくて『しんゅじく』」

片っ端から、先生は打ち込んでいきます。

マヤ「『待ち合わせ』じゃなくて『侍ち合わせ』。
『遅刻』じゃなくて『遅亥リ』。
そして『態度』じゃなくて『熊度』」


ユウ「………………」

マヤ「まぁ、文の長さにしては、打ち込み時間が長かったから」


もう、すべてがバレバレですね。

マヤ先生はすべてを打ち込むと、あらためてこう打ちました。


マヤ>もう糸冬わり?>ユウ(3秒)


秘技で返されました。

僕の頭の中に、必要以上のインパクトをもって、「終わり」という言葉が刻み
込まれます。

僕は、すぐに言いました。

ユウ「さ、最後の奥義が……。最後の奥義があります……」

マヤ「へぇ。どうぞ?」

ユウ「奥義、禁断の言葉タイピング!

マヤ「!?」


禁断の言葉。

相手にとって、タブーともなる領域に侵入する、
まさに精神スキル系の最大奥義です。



僕はすぐに打ち込み始めました。


ユウ>けっこ





ごおおおっ。




その瞬間、マヤ先生の後ろから、
炎が燃え立つようなオーラが出たように感じました。





………。







………。













ユウ>けっこ

ユウ>けっ

ユウ>け

ユウ>



僕は無言で、バックスペースキーを連打しました。





奥義、禁断タイピング、



発動前に封印。



マヤ「うふふふふふ」

ユウ「あははははは」

マヤ「うふふふふふふふふふふふふふふふ」

ユウ「あははははははははははははははは」





マヤ「死にたいの?

ユウ「すみません





もう、打つ手がない。

僕は心から自分の無力を感じました。


マヤ「打たないの? それじゃ、棄権するってこと?」

ユウ「………」

マヤ「じゃ、私の勝ちね! あなたの敗因はひとつだけ。
私が張り巡らせた数々の伏線に気がつかなかったことよ」




伏線というより、ワナですよね。

僕は静かにそう思いながら、マヤ先生の最後通告を受け止めていました。







その瞬間です。

先ほどのマヤ先生の言葉が、頭の中に再び舞いました。





マヤ「この世の中に、意味のないものなんかないの」

ユウ「…は?」

マヤ「そう。すべては伏線なのよ。大事なのは、あなたが気がつくかどうか





伏線。


さらに数々のできごとが、頭の中を駆けめぐります。


リオ「見たか!? 俺様の単語登録を!


アスカ「私、私そんなこと、言えない~!


ユウ「僕は負ける、僕は負ける、僕は負ける…!


マヤ「さぁっ! ネガティブなイメージに、押しつぶされなさい!











ユウ「そうか…

マヤ「え?」

ユウ「そうだったんだ…

マヤ「何が?」



そうです。
すべての答えは、今までの中にあったのです。



起死回生の方法があるとしたら。


もう、これしか、ない。


僕は画面に向かうと、一心不乱に打ち始めました。


その瞬間、マヤ先生の顔が、少しずつこわばりました。









………!!





果たしてユウの打った言葉とは!?

そして勝負の結果は!?




精神科医ユウの日記 <70%ノンフィクション 30%ユウの妄想>
モーニング女医。~指であそぶ女医。29
これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。


<前回までのあらすじ>

ついに始まったタイピング勝負。
相手が打ち込んだ時間+3秒の間に、同じ言葉を打ち込まないと失格!

そんな中、ユウが打ち込んだ言葉とは!?

<本編>

僕はただ、一心不乱に打ち込みます。
そしてすぐにリターンキーを押しました。


それを目にしたマヤ先生の顔が、少しずつ固くなっていきます。


僕の文は、前半・後半の2部で構成されています。

これが、最初の部分。


ユウ>すみませんごめんなさいすみませんごめんなさい本当に申し訳ありませ
ん僕が全面的に悪かったです今回は心からお詫びいたします!




リオ先生の使った単語登録。
先生は、イキイキとしながら、セクハラ寸前の言葉を打ち込んでいました。


それで思い出しました。
実は僕の辞書にも、同じような言葉が登録されているのです。


「すみ」で変換すると「すみません」
「ごめ」で変換すると「ごめんなさい」
「ほも」で変換すると「本当に申し訳ありません」


まさに、いかに普段から謝りまくっているかを証明していました。

もちろん単語登録だけではありません。

「謝る言葉は、とにかく速く伝えること!」

そんな人生訓が身に染みついていますので、たぶん世界で一番速く、謝る言葉
を打ち込める人間だと思います。


ビジネスマンに、別の意味で必携のスキルです。

またリオ先生も、セクハラな言葉を打ち込むとき、普段以上の速度で打ち込ん
でいました。
理由はもちろん、「気分が乗る」からです。

そしてこれらの謝りのセリフも、
僕にとってまさに最高のポテンシャルで打ち込める言葉でした。

その可否は別として。


そして。
これは同時に、マヤ先生にとって、最大の攻撃にもなっていました。


マヤ「う…。うぅっ…。す、すみ………」

マヤ>すみませんごめんな


マヤ先生の指先が、少しずつ遅くなります。


マヤ「ごめんな…さ、い…」



そのとき、過去のできごとが思い出されました。


マヤ「何で私が謝らなくちゃいけないワケ!? この私が!!

出前の注文が、明らかに先生の言い間違いで、違ったときも。
先生の設定の勘違いで、ヤフーBBがつながらなかったときも。

本人はまったく謝らず、相手に謝罪させていました。



僕はアスカ先生の言葉を思い出します。

アスカ「こ、こんな言葉、言えない~!」


謝罪。
マヤ先生にとって、おそらく最大に抵抗のあるセリフのはず。

実際に人間は、無意識に拒絶感のあるセリフは、認識するのに時間がかかる
言われています。

見て、打ち込む。

そこに、通常以上の時間がかかっても、不自然ではありません。


マヤ「こ、こんなんで…。こんなことでぇ!!」

ユウ「………」

マヤ「こんなときこそ、ペルソナ・ペインティングよ!

ユウ「!!」


セクシーメソッド『ペルソナ・ペインティング』。

ホストやホステスなど、色々な職業になっていることをイメージして、
それになりきることで気持ちを高めるメソッドです。


マヤ先生は、目をつぶって言いました。



マヤ「私はM! 私はマゾよ!


それは、職業じゃないですよね。

僕は心からそう思いましたが、マヤ先生は無言でそのイメージを繰り返します。


マヤ「…よしっ!」

その瞬間、マヤ先生の目が、どことなくトロンとしたように感じました。

ユウ「………!!」



マヤ>すみませんごめんなさいすみませんごめんなさい本当に申し訳ありませ
ん僕が全面的に悪かったです今回は心からお詫びいたします!



マヤ先生は顔を紅潮させ、息を荒くしながらそこまでを打ち込みました。

ユウ「!!」


マヤ「さぁっ! 続きも一気に打ち込んじゃ………

その瞬間です。
マヤ先生の動きが止まりました。

僕の文の後半部分には、こう書いてあったのです。


ユウ>生まれてきてごめんなさい。僕は踏まれるために生きています。コオロ
ギよりも存在価値がありません。ミジンコ以下です。泥水の中で、小学生に捕
まえられ、顕微鏡で観察されるだけの存在です。ウシの腸内細菌よりも下の存
在です。……




それ以上は、ここに書くことすらできません。

僕のネガティブな気持ちを、深淵まですべてここに打ち込んだ。
そうご想像ください。


マヤ「………」

ユウ「………」

マヤ「………………」

ユウ「………………………」


マヤ「私は、M…」

ユウ「………」

マヤ「わたしは、え………」

ユウ「………………………」

先生は震える手で、キーを叩こうとしました。
しかし、その手は、キーの寸前で止まっています。


マヤ「いや、いやぁぁぁぁ! こんなところで負けるなんて!
平気でこんなこと書いてる人間に負けるなんて!



ひどい言われようです。
でも事実なので、否定できません。


マヤ「私が! 私が、銀座の夜に学んだ指づかいが!

ユウ「………」

マヤ「隅田川の底に沈んでるような生き物に負けるなんて!?


場所の違いが、激しすぎますよね。


マヤ「1円玉でジャラジャラ払う客がいたときも、万札ばっか出してお釣りを要求する
客が来たときも、ひたすら打ち込んでいた、私の指づかいが!



………………。

銀座の夜に学んだって、

レジ打ちのこと
だったんですか。



今回最大級のツッコミを思い浮かべたときも、マヤ先生はただ苦しみの表情を
浮かべていました。


マヤ「打てばいいのよ、打てばいいだけよ、マヤ…!
   私は負けない、私は負けない! 私は王! 女王なんだから!

ユウ「………………」


マヤ「ほら、女王の私だからこそ、腸内細菌って………

ユウ「………………」





矛盾してない!?








僕も心からそう思います。



そう。
答えは、ただ一つだけ。


マヤ「私は…。私は…。わぁぁぁ、たぁぁぁぁ!」

ユウ「………」


マヤ先生は、僕にネガティブな言葉を暗示のように刷り込んできました。
そして僕は、そこから必死に抜け出そうとしていました。


でも、それは間違いだったんです。


とにかく、その中に頭までつかってしまうこと。
それこそが、何よりも大きな、僕だけの武器だったのです。



マヤ「しぃぃぃぃ! わぁぁぁぁぁぁ………!」


マヤ先生がそこまで言った瞬間、画面に爆弾マークが現れました。













<エピローグ>



爆弾マークが表示され、すべての勝負が終わってから、30分後。



マヤ先生は、アイスココアを口にしながら。
リオ先生は、ブラックコーヒーを口にしながら。
アスカさんは、いちごジュースを口にしながら。
そして僕は、水を口にしながら。

ほとんどの人が去った店内で、4人でテーブルを囲んでいました。



マヤ「………………」

リオ「………………」

アスカ「………………」

ユウ「………………」

重い口を開いたのは、マヤ先生でした。

マヤ「何が、いいのよ?




これは、夢か。

僕は現実が信じられず、ただ呆然としていました。


マヤ「ちょっと!?」

ユウ「は、はいっ!」

マヤ先生の弾いたジョジョ35巻が僕の体に当たり、僕は再び現実に引き戻され
ます。



マヤ「上の順位の人間は、自分よりも下の順位の人間一人に、何でも言う
ことを聞かせることができる
」。

ユウ「………」

リオ「あぁ、そうだったな…。そうするとビリだった俺は、全員に聞かせられる
かもしれないわけだな…。
最悪だ…」

アスカ「うぅぅぅぅぅ~。ヒドい…。強引に呼ばれただけなのに…。
3位だった私が言うこと聞かせられるのは、リオくんだけなんて…

マヤ「何を、誰にさせたいの? トップだった、ユウ先生?」


マヤ先生は、恐ろしくにこやかな表情で、言いました。





僕は。

僕は、この日のために、生まれてきたのかもしれません。





そう。

夢で見た、あの景色。


笑う僕。

あたたかく微笑む、美しい女性。



永遠とも言える時の中で。

ただ、あたたかな時間を過ごしている。

そんな、最高の風景。

それがかなえられたら、死んでもいい。






そこまで思うと、僕は、静かに言いました。

ユウ「マヤ先生

マヤ「…なぁに?」


僕は深呼吸をすると、こう言いました。


ユウ「ひざまくらで、耳かきしてください


その瞬間、マヤ先生は、ゆっくりと微笑みながら、言ったのです。


マヤ「この世の中にはね」

ユウ「………?」





この世の中にはね、
意味のないもの
なんか、ないの。







は?





そう。すべては
伏線なのよ。
大事なのはあなたが
気がつくかどうか…。









は!?




さぁっ!
この話の結末が、あなたには分かりますか!?

すべての伏線を読み解いたあなただけが、
ラストを予測することができる…!




明日の最終回を待て!


精神科医ユウの日記 <70%ノンフィクション 30%ユウの妄想>
モーニング女医。~指であそぶ女医。最終話
これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。


<前回までのあらすじ>

ついに決着したタイピング勝負。
一位になったユウは、マヤに「ひざまくらで、耳かきをしてほしい」と頼む。

それにたいして、不敵に笑うマヤは…!?


タイピング勝負、最終話!!


<本編>


マヤ先生は、ニコッと微笑みます。

マヤ「上位の人間は、自分より下の人間一人に、何でも言うことを
聞かせることができる。だったわよね?


ユウ「はい。そうです。だから…」





するとマヤ先生は、聖母のような微笑みを浮かべながら、こう言いました。


















アスカ、
お願いね。










何それ。




アスカ先生は、その言葉が信じられないように固まっていました。


マヤ「だってアスカは、私より下だもの





その瞬間、僕の頭に、リオ・アスカ先生の負けが決まったときのセリフが
よみがえりました。


------------------------------
マヤ「リオとアスカはね、保険だったのよ

いや、その保険、自分で倒しちゃってますよね。
------------------------------


僕はそう突っ込みましたが、まさか。



まさか、そんな意味での保険だったとは。



僕は茫然自失で、言葉がつげません。


しかし! しかし、です!


アスカ先生に、ひざまくらで耳かき。


それであれば! それであれば!

いやでも、マヤ先生だったのに!

いやそれでも、アスカ先………










ちょっと待て。



まさか。まさか。



僕がそう思った瞬間、アスカ先生は、言いました。





リオくん、
お願い~。


















これは、夢でしょうか。



別の意味で、夢でしょうか。




大人になって。

初めてされたひざまくらが、リオ先生。


これは、トラウマになってもいいのではないか。
心からそう思いました。







ここは、リオ先生のマンションの、カーペットの上。

そして今の僕は、リオ先生のフトモモに頭を乗せています。

固いです。

その上、イヤな固さです。

そして。


顔は、先生の方に向いています。



眼前には、リオ先生の腹部が。そして色々なふくらみが。



もうなんていうか。

これは地獄絵図ですか。


そう思った瞬間、リオ先生のあぶら汗が、僕の顔にしたたり落ちてきました。

ユウ「うわぁぁぁぁっ!

それはちょうど、僕の鼻に当たり、下に垂れていきました。


ユウ「ぎゃああああ~!!

リオ「うるさい! 泣くな! 俺の方が被害者なんだ!



いや、どうだろう。


ユウ「そんなこと言ったって!」


リオ「だいたい君が悪い! 何でこんなこと願ったんだ!


こんなことになるとは思ってなかったからです。


リオ先生は、側でビールを空けるマヤ先生に言いました。

リオ「だいたいコレ、おかしくないか!? 結果的に、君が俺に直接
頼んだのと同じじゃないか!? アスカを介す意味があったのか?



マヤ「そうねぇ…。まぁ、アスカが同じことするとは思っていなかっ

アスカ「するに決まってるよね、マヤちゃん

オレンジジュースを片手に持ったアスカ先生の言葉が、
鋭くマヤ先生のセリフに刺さりました。



ユウ「………」


マヤ「まぁ、確かに結果的に、私が直接リオに頼んだのと同じかもね。
だったらアスカの分だけ浮いたことになるかも


リオ「そうだよな!?」


マヤ「ええ。アスカ? 何かリオにひとつだけ、命令してもいいよ?

リオ「おおっ! このショックを和らげる、何かセクシーなこと、命令してくれ!」


するとアスカさんは、僕の方に哀れみの目を向けながら、言いました。




アスカ「…せめて、優しくやってあげて


ユウ&リオ「………」










…いたぁく、
ないかナ~?





リオ先生の、さわさわとした手触りが、僕の耳をなでます。
耳かきが、ふわふわと、耳の中を刺激します。



あの。どうか。


ひと思いにやってください。

僕は心の底からそう思いました。


リオ「あっ!」

ユウ「ぎゃっ!」


僕は耳の痛みを痛烈に感じながら、マヤ先生の存在と、
その悪の知略と、S性と、あと言葉にもできないさまざまなことに
思いをはせながら、意識を失っていきました。




(完)



<編集後記>

というわけで昨日募集した予想クイズ。
正解者はこちらです!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
須藤さん、ナーノさん、さとかさん、まにぇまにぇさん、 すみおさん、Qさん、
zz1さん、toshihidezoneさん、花猫さん、めりーさん、レネットさん、
nomさん、ぐりむさん、広山晃さん、パーマンさん、綾瀬さん、がらしゃさん、
霧海かすかさん、theDogさん、ソラさん、わかむらますみさん、東雲源五郎さん、
あさってさん、Gypsyさん!
―――――――――――――――――――――――――――――――――

おめでとうございます~! みなさん鋭い!


そして残念ながら不正解だったみなさま。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
cazさん、奈良あきらさん、ゆかすさん、ヒロさん、佐藤さん、ががんぼさん、
もりりんさん、おまめさん、受験でセクシー心理学を熱弁したやつの友さん、
Mariaさん、朱い月さん、ほか多数。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

ほとんどが、

『「言うことを聞かせられる」→「聞くだけであって、それに従う義務はない」
…ということでは?』



という内容でした。
うん。さすがにそれは思いつきませんでした。

また、こんなご回答も。


『実はゆう先生は死人だったってオチは自虐的で面白いですよね。(木さん)』


自虐ここに極まれり。って感じです。
いや、面白い以前に、死んでたら日記書けません。



また、helonofskyさんをはじめとする数名の方から、こんなメールもいただきました。


キーボードをランダムに打てばいいのでは!?
打つのは簡単だけど、時間内に同じのを打つのは無理ですし









………………………。







なるほどー!




気がつきませんでした。心から。



まぁ、それをやった瞬間、あらたにマヤ先生から、
「意味のある文でないとダメ」というルールが新規追加されたとは
思いますが。鉄拳と同時に。


それに極端な話、単語登録で、
「こんにちは。僕の名前はゆうきゆうです。好きな食べ物は、なめこです。
人生って何なのか、ぜんぜん分かりません。よろしくお願いいたします。」

みたいな長い文を、「こ」で登録するとかの方法もあったかな、とは
思うのですが。

まぁ、どっちにしても、やはりあとづけルールで禁止されたとは思います。
鉄拳と同時に。





というわけでこのシリーズを書き始めたのが、2003年8月。
まさに1年以上かけて、無事終了しました。

心から日記でなくて、「年記」です。

根気よくおつきあいくださったみなさま、本当にありがとうございました。

そして、こんなユウですが、どうか今後ともよろしくお願いいたします。



ソラさんからいただきました!
ありがとうございます。

『今回の「指で遊ぶ女医」も、とても楽しかったです。
ラスト、「いいな~膝枕で耳かきv」と思った女性ファンは多いと思いますよ。
できることなら私と変わってほしいくらいです……ゆう先生と。』

なるほど!
ぜひ変わって欲しかった!

これはたぶん、回転して逆の耳もやっていただいているところですね。
死ぬ死ぬ。あ、昇天してますね。そういえば。

重ねて、本当にありがとうございました!


指であそぶ女医。 完


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