精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 2002/12/10
                        ~占いをする女医。

<セクシー心理学 トップへ>

それは、ある日のことでした。
僕が診察を終えて医局に戻ろうとすると、部屋の中からマヤ・リオ先生の声が聞こえました。


マヤ「ねぇ、うちのサイトを今後どう変えていくか、本気で考えなきゃいけないと思うんだけど…」

リオ「そうだな…。ユウだけに考えさせるのは、さすがに酷かもしれないな」






いえ、先生たちが入ってくるほうが酷だったりします。

僕はそう思いながら、静かに耳を澄ましました。

マヤ「とりあえず、まず考えなきゃいけないのが、サイトのタイトルよね」


それは同感です。
そう思っていると、リオ先生の声が聞こえました。

リオ「…そうだな…。もっと過激にしたほうがいいかもしれないな」




これ以上過激にするんですか。


僕はそういいたくなりましたが、もちろんその言葉を飲み込みます。


マヤ「うーん…。もちろんそれもアリかもしれないけど、他のアプローチのほうがいいかもしれないわね」

リオ「他のアプローチ?」

マヤ「ほら、心理学で「後光効果」ってあるでしょう?
有名なものの名前を借りることで、それと同じようなインパクトを与える心理作用よ」

リオ「あぁ、たとえば?」

マヤ「そうねぇ…。あ、ほら。なんかすっごい年配のドクターが書いた、ベストセラーがあったじゃない?」

リオ「あったなぁ。確か『生き方上手』だったな」

マヤ「そうそう。だからそれをセクシーにアレンジして」

リオ「…うんうん」





マヤ「セクシー上手









どんなH系サイトですか。


ていうか「床○手」とか言われなくて本当に良かったです。



リオ「おおっ! いいじゃないか!」

マヤ「でしょっ!? でしょー!?」

リオ「他にも作れるな。確かビジネス書で「仕事は楽しいかね?」ってのがあったな」

マヤ「うんうん」

リオ「それの後光効果を応用して……」

マヤ「……」



リオ「仕事はセクシイかね?











知りません。

マヤ「なかなかに問題提起が鋭いわね…」







鋭すぎて誰も近寄れません。



リオ「いいだろう?」

マヤ「バッチリね」



…………………。


「後光効果」というと聞こえはカッコいいのですけど。

結局は、


『パロディ』ということですよね。




僕は泣きながらそこから立ち去ろうと思いましたが、なぜか足が離れませんでした。

マヤ「でもタイトルだけじゃダメよね…。やっぱりコンテンツ全部を変えないと」

リオ「そうだな…。新しい企画を始めるとか、どうだ?」

マヤ「たとえば?」

リオ「ほら、占いなんてどうだ?」

マヤ「そんなの、ありがちじゃない。動物占い、鳥占い、魚占い……。いったいいくつの占いが
この世にあると思ってるのよ?」


するとリオ先生はため息をつきながら言いました。

リオ「分かってないな。マヤ…。考えてみろ。今までの占いなんて、数が限られてないか?」

マヤ「え?」

リオ「結果の数だよ。動物占いだって12個。他の占いだって、どんなに多くてもせいぜい10個程度だろう?」

マヤ「……」

リオ「血液型別占いなんて、4つしかないんだぞ? この世に50億人以上いる人間の性格が、そんなに
少なくしか分類できないなんて、おかしいと思わないか?」

マヤ「………確かに……」

リオ「すなわち! 分類や結果の数はより多く細かいほど、より信憑性の高い占いができるわけだ!」

マヤ「……うんうん!」

リオ「そこで俺の考えた占いだ。なんとこの場合、分類・結果が40種類以上ある」

マヤ「なによ?」


なんだろう。

僕も答えが聞きたくなりました。

するとリオ先生は、静かに言ったのです。











リオ「都道府県別占い








意味が分かりません。




マヤ「……………」

リオ「これは流行するぞ!? めざましテレビとかでも放送されるかもしれないぞ!!」

マヤ「…どんなの?」

リオ「『北海道在住のあなたの今日の運勢は大吉。ステキな出会いが待ってるかも!
青森県在住のあなたの今日の運勢は凶。思わぬ不幸にあっちゃうかも!』









信憑性がガクンと下がってるんですけど。




リオ「『ママー! 私、今日ステキな出会いが待ってるかもだってー!』
『あら、ママもよ』




そりゃそうだ。



リオ「『パパもだぞー!』




パパも信じないでください。


リオ「学校や会社に行ったら、もうみんなソワソワ」

マヤ「そりゃねぇ…」

リオ「ストーカーの目も、いつもよりギラギラ





ストーカーも信じてるんですか。


リオ「結果的にみんなが敏感になるから、普段より出会いも増えるだろ?」

マヤ「まぁ…。確かに……」



少し気が遠くなりかけましたが、僕はなんとか気持ちを落ち着けました。

マヤ「…でもそれ、凶って言われた青森県だと大変ね…。思わぬ不幸を恐れて、青森県中の車が徐行運転ね」




マヤ先生も真面目に返さなくていいです。



リオ「あぁ。だから渋滞に巻き込まれてみんな遅刻」

マヤ「………」

リオ「みんな納得だな。『そっかぁ、これが不幸だったんだ』




なにうまくまとめてるんですか。



リオ「なっ!? 以上の理由により、絶対に外れることのない占いだろ!?」

マヤ「うんうん、それイケるかもね!」






イケません。


マヤ「でもそれ、もっともっと細かく分類できそうよね!?」

リオ「おっ! よく気づいたな! 県よりもさらに細かく、市町村まで分けることが可能だ!
『横浜市在住のあなたは』とか」

マヤ「そうね! 『上野駅徒歩10分以内に在住のあなたは』とか」




不動産屋の広告ですか。




リオ「そうだな! 『鳥取砂丘にすんでいるあなたは』とか!」

マヤ「『秋葉原のソフマップ5号館の50メートル以内にすんでいるあなたは』とか!」




わー、楽しそう。


普通、こんなときはうらやましくてたまらなくなるかもしれませんが。

なぜか全然うらやましくないです。



マヤ「あ!! でもその考えで行ったら、他にももっともっと細かいのができるわよね…」

リオ「…え?」




その後にマヤ先生が言った言葉を、みなさんは予想がつきますでしょうか。













マヤ「名字別占い









もっと意味が分かりません。



リオ「あーーーーーっ!」

マヤ「でしょでしょ!?」



なんか理解してるみたいなんですけど。



マヤ「今日の鈴木の運勢は、大吉。佐藤との出会いがあるかも!」

リオ「うんうん!」




どういう占いですか。


マヤ「今日の山田は、ちょっぴり最悪。吉田には気をつけて!」

リオ「あぁあぁ!!」



特定の誰かがいるんですか。


僕は楽しそうに話をしている2人の声を聞きながら、思いました。




もし、本当にさっきの場所別の占いがあったら。




『ももんが医大精神科の医局の中にいるあなたは、毎日別な方向に幸せいっぱい』



とかなるんだろうな……。

そして僕は静かに、その幸せいっぱいな医局を後にしたのでした。


精神科医ユウの日記 <今日は100%ユウの妄想>
モーニング女医。 2002/12/30
                        ~hit○miる精神科医。

<セクシー心理学 トップへ>

突然ですが、みなさんはhitomiの歌う「flow」という曲を知っていますでしょうか。

歌詞をそのままここに書くのは避けますが、

自分のなくしてしまったものや自分の汚してしまったもの…。そんな失ってしまった色々なものを
もう一度だけ取り戻せるのなら、今この瞬間を受け入れて生きていこう…。

といった、とても切ないバラード。


ハッキリ言って、僕がファンであるhitomiの、一番好きな曲です。
すなわちユウが人生で一番好きな曲といっても過言ではありません。


それで、です。
つい最近、そんなflowのビデオクリップをテレビで見ることがありました。


あれだけ大好きな曲なのだから、さぞ綺麗で感動的な映像なんだろうな…。
僕はワクワクしながらテレビを見ていました。



すると、です。



まず、白黒の背景でhitomiが一人たたずんでいました。
その上、映像がほとんど動きません。

この瞬間、テレビの接触が悪いのかと思って、何度もコードを確認してしまいました。

タバコの煙の動きが、かろうじて一時停止ではない証明になっていました。



そして。


ここからが、この映像のすごいところです。

曲が2番に入りかけると、こんなシーンが画面に入ってくるのです。









これ、何ですか。




これは本当にflowの映像なんだろうか。
僕は何度も何度も画面を確認してしまいました。



流れている曲は、間違いなくflowです。



じゃあこの不気味な謎の映像は何!?

おそらく視聴者のほとんどがこの映像に対して気持ちが引っかかってる…。

そんなとき、ついにこの映像の全貌が画面に現れたのです。















あなた、誰ですか。





僕はテレビに向かって激しく突っ込みながら、静かにその映像を見ていました。


いやでも、これは単独で見るとすごい生き物だけど、hitomiと並ぶと違和感がないに違いない…。

僕はそう思いながら、ひたすらテレビを見続けました。


すると。











違和感、ありまくりです。

なんなんですか!?
なんなんですか!?

もう、意味が分からないです。

僕は今一度歌詞を確認しました。

この曲は、
自分がなくしてしまったもの、汚してしまったもの。
それらを振り返る、切ないバラードなはずです。


そのイメージ映像は決して、

















こんなんじゃない。







おそらくここには、映像ディレクターさんが考えた何らかのメッセージが込められているはずです。


僕は必死になって考えました。

この宇宙人さんが、「自分がなくしてしまったもの」なのだろうか。



だとしたら。












心から、なくして良かったと思います。




考えれば考えるほど、僕のネズミ脳は混乱します。


なくしてしまったものは何!?
汚してしまったものって、いったいドレ!?


そう思っていたときに、映像はついにとんでもない展開を見せたのです。




これを読んでいるあなた?
心の準備はよろしいでしょうか?




いきますよ?



































抜けたー!!




僕はこれを見た瞬間に思いました。


失ってしまったものって、髪の毛?







そう考えると、一つの結論にたどり着きます。









失った後            失う前





この歌ってもしかして、男性の哀愁を描いちゃっているんでは。







僕はそのとき、一つの心理分析の事実を思い出しました。


人間は、何かを考えるとき、つい無意識の思考を重ねてしまう。

すなわち「失ったもの=髪の毛」と考えてしまう時点で、

僕が自分自身の頭髪を心配しているのではないだろうか。







…………………。







別な意味で切なくなりました。




この映像を作ったディレクターさんが、ここまで考えてこれを撮ったのなら、さすがとしか言いようがありません。




誰かこの映像に含まれる本当の解釈が分かりましたら、教えてください…。

そう思いながら、暮れ行く年の瀬に、あらためて悲しい気持ちになるユウでした。


みなさま、来年もよろしくお願いいたします。


精神科医ユウの日記 <50%ノンフィクション 50%ユウの妄想>
モーニング女医。 2003/02/01
                        ~Mの世界の女医。

<セクシー心理学 トップへ>

これは、つい最近のことです。
ある日、僕とマヤ・リオ先生の3人で食事をしていました。

マヤ「ねえ…。次に出そうと思っている論文なんだけど…」

リオ「おう。なんか考えたのか?」


ここまでは、何のことはない普通の会話です。
しかし次のマヤ先生の言葉で、食堂の雰囲気がガラリと変わりました。



マヤ「もしも世界が100人のMらだったら



何を言っているんですか。


僕は心の中でそう思いました。


リオ「………意味が分からないんだが……」


マヤ「村じゃなくて、M(エム)らよ!?
もし世界中のすべての人がMだったらどうなるかっていう、
壮大な構想のテーマなの!!




構想っていうか、妄想っていうか。

僕は少しだけ頭痛がしてきました。


リオ「奇抜だな!!」



奇抜面だけは認めるんですけど。


ユウ「………それが、どうしたのでしょうか………」

マヤ「あのね!? もし本当に世界中の人全員が『M』だったら、どうなると思う?

リオ「どうなるんだ?」


どうなってもいいです。

僕は静かにそう思いました。

マヤ「言っておくけど、
世界中のファッションが荒縄になるとか、
電灯がすべてロウソクに変わるとか、


そんな低レベルな話じゃないわよ?」

リオ「なに!? 違うのか!?」



あの。

ここ昼休みの食堂なんですけど。


マヤ「ほら、よく考えてみてよ…。もしそうなったら、まずあいさつやお礼のジェスチャーが変わるわ」

リオ「どういうことだ?」

マヤ「ほら、お礼をするときって、頭を下げるじゃない?」

リオ「あぁ」

マヤ「これって自分の頭を下げることで、相対的に相手の方が立場が上だよ、というメッセージを伝えて
いるわけよね?」

リオ「まぁ、そういえばそうだな…」

マヤ「でも相手がMだったら、そんなことで喜ぶかしら?」

リオ「…確かに…」

マヤ「逆に、『お前の方が立場が下だ、コノヤロウ』
というメッセージを伝えられた方が嬉しいんじゃない?

リオ「その通りだな!」




おーい。

僕は心の中でそんな声を上げましたが、もちろん二人の耳には届きません。

マヤ「だからね!? その世界ではお礼やあいさつのときは、必ず胸を反って勝ち誇るようなポーズを取るわけ」

リオ「分かる分かる!」


分かるんだ。 

僕は静かにそう思いました。

マヤ「どうもっ!(胸を反る)」

リオ「こちらこそっ!(胸を反る)」

マヤ「そうそう、そんな感じ!」




イヤな風景ですね。



僕は胃がキリキリと痛んでくる気がしました。

リオ「…でも、ちょっと待てよ、マヤ…」

マヤ「なに?」

リオ「そう考えると、敬語の使い方も変わってこないか?」

マヤ「どういうこと?」

リオ「ほら、たとえば日本語では、『どうぞ召し上がれ』といった尊敬語や、『はい、いただきます』といった
謙譲語が使われているよな?」

マヤ「そうね」

リオ「どちらも、『相手の立場を高めて、自分の立場を低める言葉』だよな」

マヤ「あ!? っていうともしかして…」

リオ「そうだ。この二つが逆になる」

マヤ「うんうん。そうすると…」

リオ「あぁ…」

マヤ「………」



リオ「何かを相手にあげるときは、

『あなたなんかの手が届かないほどの高級なものですが、どうぞ頂いてください』



断固、もらいません。



マヤ「そうすると相手は受け取って、

『はい、召し上がりますね』





うわぁ、食べさせたくない。

リオ「他にも会議の時だって、


『あの、俺様がおっしゃるには…』





あんたが何様だ。


マヤ「そうそう! その上、スポーツだって変わってくるわよね!?」

リオ「どういうことだ?」

マヤ「たとえばボクシングだって、たくさん殴られた方が勝ち」




パンチドランカー続出ですね。


マヤ「K1だって同じだから、ボブサップだって、
手を後ろに組んで、『ヒットミー』とか言いながら、目をつぶったまま近寄ってくるわよ!?





そんなボブサップ、イヤです。




リオ「そうするとサッカーだって自殺点の応酬だな!」

マヤ「そう! テニスだって空振りの応酬!」

リオ「それに野球だって……」





食堂の人たちの冷たい視線を浴びながら、僕は静かにサバのみそ煮定食を食べていました。




そして20分後、マヤ先生はにこやかに言ったのです。





マヤ「というわけで、明日までにまとめておいてね






書くの、僕ですか。



ユウ「ちょ、ちょっと待ってください先生…」

するとリオ先生が笑顔で言いました。



リオ「ユウ、真性Mの君ならできる






なんの根拠にもなってません。



そして二人は、あっという間に食器を持って、席を立っていきました。















僕は、静かに思いました。



「もし、世界が100人のMらだったら。」




でも、ここに確実なSの人が二人もいる限り、
それは起こりえない。




外に吹く風は、まだ冬が続いていることを物語っていました。


日記トップへ。