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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 06/27
                    ~ブレインストームする女医。
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前回の本の一件以来、マヤ先生はいつも以上に教育熱心になってきた気がしました。
これは、つい昨日のことです。
マヤ先生は、ニコニコしながら僕とリオ先生を呼びつけると、こう言いました。

マヤ「さぁ、勉強会をはじめましょうか」

ユウ&リオ「え」

もちろん僕らに、否定することはできません。

マヤ「今日は、ブレインストーミング法について学びましょう」



「今日は」ってことは、次もあるんですか。

僕はそう思いましたが、あやうく口をつぐみました。
マヤ先生は、まったく気に留めることもなく言葉を続けます。

マヤ「ブレインストーミング法とは、アメリカの企業家オズボーンによって開発された、アイディア発想法のことよ」
リオ「……で、具体的にはどういうものなんだ?」

マヤ「とにかくガンガンにアイディアを出すの。そこでの単純なルールは、たった2つ。
 まず自由奔放! そして、批判厳禁!




どこかの女医さんの生きざまみたいですね。


マヤ「それじゃあ、試しにやってみましょう。まずは練習のために、課題を決めないで行くわね。
とにかく自分の頭に思い浮かんだ単語を、すべて紙に書いてみて」

そしてマヤ先生は、僕たちに紙とペンを渡しました。

マヤ「いい? 批判厳禁! 頭のフィルターを取り払って、思いついた単語を…
全部書くのよ!






全部ってそんな。


突っ込むまもなく、マヤ先生は叫びます。

マヤ「よーい、スタート!


僕はあわてて、そのペンを握りました。

頭の中に思い浮かぶ単語。思い浮かぶ単語。思い浮かぶ単語………。





「バスト」。





僕って、生きててもいいんでしょうか。




僕はそう考えましたが、とにかく時間がありません。

そうだ、ユウ。大切なルールがあったじゃないか。

「批判厳禁」。

頭に思い浮かんだことを、すべて書くことが大切なんだ。


僕はそう考えると、紙にそのままバストと書きました。



他に思い浮かぶ単語…。思い浮かぶ単語…。思い浮かぶ単語……。


















「ボイン」。













僕って、
本当に生きててもいいんですか。




僕は心の中で号泣しながら、紙にボインと書きました。



そして1分後。

マヤ「……はい、終わり!!」



マヤ先生の言葉に我に帰ると、僕は改めて自分の書いた紙を見つめました。

そこには、衝撃的な言葉の数々が並んでいました。



バスト
ボイン
ムネ
ムチムチ
チラリ
お色気
ぽにょにょん

(空白)

正義 ←明らかに人の目を意識
平和
勇気
情熱
熱海
温泉 
←少しずつ元に戻る
露天風呂
混浴 
←完全に復活
ぴちぴち
ウハウハ

お色気 
←重複使用
うれしいな ←すでに単語じゃない
僕はも ←ここでタイムリミット









………。




マヤ「このように自由連想で浮かんだことは、自分のすべてを表してるからね」










これが僕。



僕は頭の中が真っ白になりながら、その紙を丸めました。


マヤ「ちょっとユウ先生!? どうして丸めちゃうのよ!?



聞かないでください。

すると、リオ先生が言いました。

リオ「…どうせ見られたら困るようなものばかり書いちまったんだろう?」

マヤ「……そうなの?」

答えられません。

するとリオ先生は言いました。
リオ「まぁ、俺はその点、大丈夫だけどな」

マヤ「じゃ、見せてね」
リオ「いいぜ?」


そこには、こう書いてありました。









Aカップ
Bカップ
Cカップ
Dカップ
Eカップ
Fカップ
Gカップ
Hカップ
Ⅰカップ









先生、僕以下です。



そのあとに、こんな風に書いてありました。



ワールドカップ



一緒にしちゃうんですね。


それをしばらく見つめた後、マヤ先生は言いました。


マヤ「オッケー!





オッケーなんですか。



マヤ「なんてったって、批判厳禁だからね







批判したいです。




マヤ「じゃあ、次は本番に行きましょう。今度は、場面設定の中でアイディアを考えてもらうわね」

リオ「おう、どんと来い!




…………。

僕は、どちらかというと「Don’t 来い」 なんですけど。




さぁ、その後にマヤが言った、信じられない問題とは!?


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 06/28
                    ~ブレインストームする女医。2
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(昨日までのあらすじ)
マヤが突如言い出した「ブレインストーミング法」。
それは「批判厳禁で、とにかく質より量でアイディアを出す」という、恐ろしい方法だった…。
そしてマヤは、「本番」と称して、ついに問題を出す!


マヤ「じゃあ、問題ね。今から言う状況を解決するアイディアを、できる限りたくさん出してね」

先生はにこやかに言いました。

マヤ「で、今度はさっきみたいにただ書いてるだけじゃつまらないから、リオとユウ先生で5秒ごとに交互に言ってもらうわ

リオ「おう!」
ユウ「…え?」

マヤ「いい? 先にアイディアが尽きたほうが負け」

リオ「OK!」

マヤ「あともう1つ! 相手のアイディアに、
 理不尽な批判をしても負けよ?






『理不尽』の基準は何ですか。



マヤ「負けたほうは、罰ゲームが用意されてるから






………。


リオ「望むところだ!








望んでませんから。



そう突っ込む間もなく、マヤ先生は問題を言いました。


マヤ「じゃあ、さっそく問題ね!?
 あなたの目の前に、とてもキレイな女の人がいました!
 さて、この女性と会って5分で、うふふな関係になるには、どうしたらイイでしょうか?








何ですか、その問題は。



マヤ「じゃあ、まずはユウ先生!







…………。





僕は必死に考えました。
そうだ。

さっきみたいに、なんでもいいから考え出すんだ。


なんでもいいんだ。なんでもいいんだ。なんでも……













バスト?










今回ばかりは、答えになってない。




マヤ「5…、4…、3…





さぁ、どうなるユウの運命!?


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 06/29
                    ~ブレインストームする女医。3
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(昨日までのあらすじ)
マヤが突如言い出した「ブレインストーミング法」。
それは「批判厳禁で、とにかく質より量でアイディアを出す」という、恐ろしい方法だった…。
そしてマヤが出した罰ゲームをかけてユウとリオに出した問題は、
「キレイな女の人と、5分でうふふな関係になる方法」。
どうするユウ!?


マヤ「3…2…」


時間がありません。
僕は必死に考えました。

ユウ「く……口説く!




マヤ「……………」

リオ「……………」

………………。














マヤ「OK









こんなんでいいんですか。



リオ「よし、次は俺の番だよな…」

マヤ先生は数をカウントし始めます。

マヤ「5、4、3…」




リオ「睡眠薬を飲ませる











それ、犯罪です。





マヤ「OK






それでもOKですか。



僕はそう言いたくなる気持ちをぐっとこらえました。



突っ込んだら負けだ。
批判しちゃダメなんだ。



マヤ「次、ユウ先生。5、4…」


僕は再び考え始めます。




ユウ「…………だ、だきしめる!





マヤ「………」

リオ「……………」

マヤ先生は、ため息をつきながら言いました。






マヤ「それは犯罪だから







どうしてこっちはダメなんですか。


リオ「ユウ……。それは目立つだろう?






何、その基準。



マヤ「はい、ユウ先生、パス1。次、リオね。5、4、3…」



するとリオ先生は、静かに考え、そして顔を上げながら言いました。


リオ「超能力で自分に抱きつかせる






やってみせてください。



僕は気持ちの中で大きく突っ込んでいました。



マヤ「それ、面白いわね


面白ければいいんですね。


マヤ「次、ユウ先生。5、4、3…」


僕はまた考えます。
…そうだよ。超能力がいいのなら……。




ユウ「ま、魔法で自分に抱きつかせる!



マヤ「……………」

リオ「……………」









マヤ「ユウ先生。子供じゃないんだから






超能力と、どう違うんですか。




リオ「……超能力は、テレビでやってるもんなぁ








魔法だって、アニメでやってます。




マヤ「はい、ユウ先生、パス2。次で終わりね。じゃあリオ。5、4、3……」




リオ「実はその女性は、昔付き合ってた恋人だった







設定変えるのもアリですか。




マヤ「それは思いつかなかったわ!




そういう問題じゃなくて。




マヤ「じゃ、ユウ先生! 5、4、3、2……




どうするユウ!?


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。 07/02
                    ~ブレインストームする女医。最終話
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(昨日までのあらすじ)
「ブレインストーミング法」。
それは「批判厳禁で、とにかく質より量でアイディアを出す」というアイディア発想法だった…。
そしてマヤが出した問題は、
キレイな女の人と、5分でうふふな関係になるにはどうしたらいいか?」。
批判厳禁といいながら、自分のアイディアはことごとく否定されるユウ。
さぁ、どうするユウ!?



マヤ「じゃ、ユウ先生! 5、4、3、2……」

僕は必死に考えます。
もう後がありません。


ユウ「か…か…」

マヤ「か?」


ユウ「かわいいねと誉める






……………。



マヤ「いいじゃない!
リオ「やるなぁ…







すみません。自分で言うのもナンですが。

こんなんでうふふな関係になれたら苦労しません。


マヤ「次、リオの番よ?」

リオ「………任せろ。最高のアイディアがある」

マヤ「なぁに?」



リオ「口説きまくる





僕、最初に「口説く」って言いました。


マヤ「その手があったわねぇ」

リオ「まくるところがポイントだな」






それじゃ、今までの全部の案に「まくる」つければ2倍になりますね。


マヤ「じゃあ、次はユウ先生よ? 5、4、3……」



その先は、まさに流れるようにたくさんのアイディアが湧いてきました。





ユウ「キレイだねと誉める」
リオ「弱みを握る」
ユウ「優しいねと誉める」
リオ「性欲の高まるツボを押す」
ユウ「ナイスバデーと誉める」
リオ「俺、キムタクの友達と言う」
ユウ「神様にお祈りする」
リオ「仏様にお賽銭500万円」
ユウ「プロポーズする」
リオ「アルコール度数100のお酒を飲ませる」
ユウ「とにかく頑張る」
リオ「とにかく頑張りまくる」
ユウ「ボーイズビーごっこしようと言う」
リオ「チュッチュする!」
ユウ「ボーイズビー2ndSeasonごっこしようと言う!」
リオ「チュチュチュッチュする!」









……………。




僕たち、何をやってるんだろう。




色々な意味で、自分の人生の意義について考えてしまいました。



そして30分後。

マヤ先生は静かに言いました。

マヤ「…そろそろキリがないので、やめましょうか







もっと早く言ってください。



僕はそう突っ込む気力もないほどに疲れ切っていました。


リオ「引き分けだな、ユウ



なんかもう、



負けても良かったから、早くやめたかったです。




マヤ「とにかくこれで分かったよね? ブレインストーミング法。こう考えるクセをいつでもつけてると、とっても役に立つわよ?
 これこそがセクシーメソッド『ノンストップ・ストーム』!








ネーミング、今考えませんでしたか。









そして次の日。



「先生、最近あまり眠れないんですけど…。どうすればいいでしょうか」


そう訴える患者さんに、ついこう考えてしまう自分がいました。






睡眠薬を飲む。
睡眠薬を飲みまくる。
ストレスをためない。
催眠術でストレスを消す。
羊を数える。
ネコを数える。
クジラを数える。
羊を数えまくる。
枕を替えてみる。
ベッドを替えてみる。
生き様を替えてみる。
生き様を替えてみまくる。
実は眠くなかった。
実は相談は存在しなかった。



……………。



僕、もうダメかもしれません。



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