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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。9/26
               ~名字に憤慨する女医。
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日本には、たくさんの名字があります。

二階堂・真行寺・伊集院

なんていうカッコいいものから、

佐藤・鈴木・田中

というありがちなものまで…。


これは、つい最近、マヤ先生が憤慨していた、一つのお話です。






マヤ「ねえ、最近メッチャ許せないことがあったんだけど!」


そのときのマヤ先生は、いつもならありえないほどの形相で怒りを露にしていました。

ユウ「ど、どうしたんですか?」

こんなに怒っている先生を見たのは、


出前でうな丼を頼んだときに、間違ってうな玉丼が入っていたとき以来です。



マヤ「あのね、昨日医師会で会ったドクターなんだけどね、すっごい名字だったのよ!!」

ユウ「な、何ですか!?」

マヤ「何だと思う!?」


ここで。



「分かりませんよ、そんなの」


なんて言えるわけがありません。


火に油とプロパンガスとダイナマイトを投げ込むようなものです。


僕は、今までに本で読んだ知識などを総動員して考えました。


マヤ先生が怒るほどの名字…。
というと、メチャクチャ怪しいものでしょうか。


『浮気』と書いて、『ふき』さん。
『十六女』と書いて、『いろつき』さん。(色っぽくなり始める年頃だからだそうです)
『十八女』と書いて、『さかり』さん。(女性の盛りだからだそうです)



全て実際にある名字です。

特に最後の名字なんて、


いかにもマヤ先生の意識を逆なでしそうな気がします。



マヤ「ねえ、何だと思う? 本当に!!」



ユウ「さ…。さか…」

マヤ「さか?



………






僕には、言えません。



マヤ「分からないようね…。そりゃそうよ…。
さすがの私も、予想すらしなかったもの」





<さすが>正しい用法:
『さすがの君にも、分からないの?』
『さすがの彼女にも、できなかった』等、
第三者を修飾する場合に用いられる。

なんて言葉は、当然言いません。




マヤ「教えてあげるわ…」

ユウ「はい、何ですか…?」

マヤ「野田よ」














はい?


マヤ「普通、自己紹介するでしょう? 初対面だと」

ユウ「…はい…」

マヤ「『私、大和です』って言ったら、その人、『私は野田です』って」

ユウ「…………」

マヤ「私にどうしろっていうのよ!?











いや、どうもしなくても。



マヤ「だってよ!? 普通名字って言えば、何にせよ想像するものじゃない、何かを!」

ユウ「…はぁ…」

マヤ「その人が『松川』さんなら、松の生えてる川!
『三原』さんなら、三つの原っぱ!








そんなのを想像して、
何になると言うのですか。




マヤ「それが、野田よ!? いったい何をイメージしろって言うの!?
何を想像できるのかってワクワクしながら待ってる相手に、失礼じゃない?」










だから、いませんから。

マヤ「『イメージできるもんなら、してみなさいよ! ほら! あーはっはっは!!』
なんて叫びながら、ハイヒールで頭を踏みつけてるような感じでしょう!?」








今、その図を途中まで想像してみましたが、その踏みつけてる人って、



どうしても顔がマヤ先生になっちゃうんですけど。



マヤ「高田、大田、本田、沢田………。
私は、『田』は、他の修飾する言葉があってこそ輝く、『田」だと思ってる。
すなわち、いろんなおかずに合う、『ご飯」と一緒


……………。



マヤ「『野』も同じ。
秋野、河野、村野、安野…。
『田』が『ご飯』なら、『野』は『パン』よ



…………………………。




マヤ「ほら、こんな会話と一緒よ!
『君の好きな食べ物って何?』
『俺は、栗ご飯!』『私は、クリームパン!』
『じゃあ、君は?』」





今、すっごく読める気がしました。





マヤ「『ぼく、パンごはん』








やっぱり。



マヤ「こう言ってるのと、どこが違うわけ!?













何ていうか、もう、




根本から違う気がします。




マヤ「私は絶対に、野田さんとは結婚しないと思うわ。その名字になりたくないし」







いやそれ以前に結
















これ以上は、たとえ心の中で思うだけでも危険すぎると思いました。




全国の野田さま。
まだ年端も行かない女性の申しますことですので(こう書けと言われました)、どうか本気になさらぬようお願い致します。


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。10/16
               ~ウィルスを変える女医。
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(『先行者に対抗する女医』の続編はもう少しお待ちください)

今回、マヤ先生はドイツに行ってきました。

これは、帰国したマヤ先生が、開口一番に言ったセリフです。


マヤ「ねえ、聞いてよ!
私ね、医学界を揺るがすほどの大事実を発見したのよ!」

ユウ「ええっ!? な、何なんですか!?









最近、僕の『驚きリアクション』も板についてきた気がします。

マヤ先生が、突如嬉しそうに振る話題。
それはほとんどの場合、

マックの店員がカッコ良かったとか、
吉野家の牛丼の量が少なかったとか、


そのくらい下らない重要な発見であることがほとんどです。


今までは、気のない返事をして何十回も殺されかけたことがありました。

命の危険から回避するために、自然とマスターしたリアクション。






まさに、
生き残るために保護色を身につけたカメレオンと同じです。


マヤ「で、その大発見なんだけどね…?」

ユウ「はい…」

マヤ「何だと思う?








今回は二重のトラップみたいです。


ユウ「びょ、病気についてですか…?」


マヤ「ビンゴ♪

ユウ「あぁ…」

マヤ「で、何の病気についてでしょう!?」






いつまで続くんですか、僕の命の危険。



僕は慎重に解答を選びました。

ユウ「………カゼ?」

マヤ「ハズレ」

ユウ「………ガン?」

マヤ「…不正解…。チャンスはあと1回ね」


迫り来る恐怖。


僕は、必死に考えて言葉を搾り出しました。


ユウ「………きょ、狂牛病ですか?」


マヤ「…………………」

ユウ「………………………」









みのもんたの前にいる人の、気持ちが分かる気がしました。



マヤ「……ハズレ」



ああぁ!


マヤ「でも、今回は特別に許してあげる。難しいもんね。病気はたくさんあるし」

ユウ「あ、ありがとうございます!






………。




いつのまに僕、許される立場になっているんでしょうか。



マヤ「答えはね……。カゼよ」






それ、最初に言いました。




でも、その言葉を飲み込んだのは言うまでもありません。



マヤ「実は私ね、いつカゼを引いても、必ず「鼻水が出る」という症状しか出ないのよ」

ユウ「は、はい…」

マヤ「ニュースなどでどんなに
『今年のカゼは、腹痛から始まります』とか、
『発熱が先行するので、ご注意ください』とか言っているときにカゼになったとしても、
必ず「鼻水だけ」なの」





いや、鼻水を強調されても。


僕は心の中で、その言葉をひたすら念じていました。

マヤ「ここからが大事! で、今回ドイツにいったときもカゼをひいたんだけど、
その時も、「鼻水だけ」だったのよ!? これがどういう事か分かる!?」

ユウ「………?」

マヤ「カゼを引き起こすウィルスは、同じ日本でも時期によって違うはず。
そしてドイツであったら、なおさら違うはずでしょう?」

ユウ「ま、まぁ確かに…」

マヤ「だから、私はこれらから一つの結論にたどり着いたのよ」





この後にマヤ先生が言った言葉を、誰が予想できると言うのでしょう。

マヤ「私は、どんなウィルスでも『鼻水ウィルス』に変異させる特殊能力を持っていたのよ





………。


人はこんな時、どのように返せばいいんでしょうか。





現代医学の大発見と言いながら、使う言葉は




鼻水ウィルス。


また、せめて、

『特殊能力を持っているんじゃないかしら

なら、まだ救いがある気がします。


でも。





『特殊能力を持っていたのよ








すでに、確信しちゃってます。


さあ、突如あらわれたマヤ先生の(自称)特殊能力!!

この後に先生が話した、恐ろしい計画とは!?

待て、次回!!

つづく


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精神科医ユウの日記 <90%ノンフィクション・10%ユウの妄想>
モーニング女医。10/19
               ~ウィルスを変える女医。2
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<前回までのあらすじ>

何回カゼにかかっても「鼻水しか出ない」ということから、
自分は、どんなウィルスでも『鼻水ウィルス』に変異させる特殊能力を持っていた
と結論付けたマヤ。
大丈夫なのか、精神科医マヤ!?
そして大丈夫なのか、日本の医学は!?



ユウ「そ、それは驚きですね…」

マヤ「そう思うでしょう!?





ええ、違う意味で。


それでも先生は、構わずに話を続けます。

マヤ「この理論がもし証明されれば、私は今後ずっと、
どんな病気も恐れる必要はなくなるのよ!?





えっと。

ガンとか、食中毒とかは?
あと、アルツハイマーとか、細菌性の




マヤ「そうでしょ?

ユウ「その通りです!!



マヤ「それどころか、私の体内構造を解明して、それを「特殊抗体」として売り出せば、
世界中の人々が病気に苦しむこともなくなるのよ!?」


一体それは、どのくらいの人が買うと言うのでしょう。

僕は、店頭で売られている様子をイメージしてみました。

これであなたも一発元気♪
『マヤの特殊抗体』
(生写真つき)






今、ちょっと欲しくなりました。
(別な意味で)




マヤ「私の抗体が世界中に広まったらスゴいわよ!?
  どんなウィルス性の病気にかかっても、鼻水だけになっちゃうの!
  まさに、夢のような世界よ!?



僕は、再びイメージしてみました。




部長「ズズズ…」

秘書「あら部長。どうしたんですか? おカゼですか?」

部長「いや昨日、エイズになっちゃってね








イヤだ、こんな世界。




さらに医療ドラマも、こんな風になるかもしれません。



夫「僕は大丈夫だよ…。僕が白血病のウィルスなんかに感染するもんか」

妻「良かった…。本当に良かった…」

夫「はっはっは………」

妻「………」

夫「ズズズズ」

妻「…まさか!?




こんなドラマ、見たくないです。

そこまで想像している僕の前で、マヤ先生は大喜びしてます。

マヤ「もう、世界はバラ色ねー!!






いや、もうちょっと黄色っぽいような。


マヤ「今日は祝杯あげなきゃねー!」

ユウ「は、はい……」

その瞬間、マヤ先生はクシャミをしました。


マヤ「クチュン!」

ユウ「……」

マヤ「あれ?」

ユウ「だ、大丈夫ですか?」

マヤ「…ズズズ…」







………。








それは何の病気ですか。



僕はそう思いながら、逃げるようにその部屋から出て行ったのでした。


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