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2007/10/24 ◆ 今の自分は、本当に昔望んだ自分なんだろうか。「後編」

あなたは、「新宿の妹」というものをご存じでしょうか。

そのドアを開けようとしたとき、男が聞いた言葉とは!?

 

というわけで、こんばんは。ゆうきゆうです。

昨夜の更新に多くのレス、ありがとうございました。
せっかくですので、続きの掲載を。

中途半端もアレですので、一連の流れだけ完結させたいと思います。

昨夜の前編の続きとなります。


「あの…」

 

そう言いながら、ドアを開けようとしたときのことだ。

「先生、本当にこんなんで、来るんですか?」

女性の声だ。
それも、二人で会話をしているらしい。

「来るわよ!」

もう一人の女性の、たしなめるような声が、響く。

「だってホラ、今ってアキバ系が大流行じゃない!? 妹って書いておけば、脊髄反射的につられた男たちがやってくるわよ!」

「でも、来るのって、とにかく妹求めてるような男たちですよね…?」

「でもね。妹を求める男性ってことは、それだけ自分に逆らわない女性を求めてるってコト。
それは、日常でストレスを抱えていて、色々思い通りにいかないことによる反動…とも考えられない?」

「………ま、まぁ…」

「だったらすなわち、『潜在的に、うつになりそうな男』にも通じない?」

「なんか、拡大解釈しすぎてる気がしますけど…。
まぁ、うまく行けばいいんですけどね…。とにかく患者さんが減りすぎてる現状に歯止めを…」

「あああああああっ!」

「え?」

その瞬間、二人は僕に気がついたようだった。

「あ、あの…」

「………」

「すみません。かえりま…」

そう言いかけた瞬間、『先生』と言われた女性は、こう言った。

「は…」

「え?」

「はじめまして! お兄ちゃん」

今さら。

というか、「お兄ちゃん」なのに「はじめまして」。
この言葉の矛盾について、彼女は何も感じないのだろうか。

声の方向を見ると、美しい女性が、白衣に身を包んで立っていた。

知性的で、でも子供のようなあどけない瞳。
髪は黒く、美しい。年は20代にも見えるし、30代にも見える。

しかし彼女はなぜか、頭に小学生の女子がつけるようなリボンをつけていた。
それだけが、激しい違和感を発している。

「お、お兄ちゃん」

声が少しうわずっているように聞こえる。
おそらく、こんな言い方をしたのは、はじめてなんだろう。

「きょ、今日は、どうしたの?」

いや、それはこっちのセリフだ、と思った。

「な、何なんですか? ここは…?」

その瞬間、側にいたもう一人の女性が、言った。

「ここはね、疲れたお兄ちゃんを、安らがせてあげる場所なんです」

彼女はナースの恰好をしている。
立ち振る舞いからして、本当にナースなんだろう。

彼女は「先生」よりも練習しているのか、発声がより自然に思える。
しかしナースなのに「お兄ちゃん」を連発しているのが、ありえないくらいに怪しい。

僕は言葉の内容に気がつくのに時間がかかったが、慌てて聞き返した。

「疲れたお兄ちゃん…って、僕のこと?」

「うん。顔からして分かるわ」

先生と呼ばれる女性が、すぐに答えた。

「………」

「疲れてるよね? 仕事にも恋愛にも、何ら希望を見いだせないでしょ?」

確かに。
あまりにハッキリ言われるのが少しイラッと来るが、事実ではある。

「私はね、そんなお兄ちゃんに、幸せを…」

「………」

そこで、彼女の言葉が止まった。

「………」

「………」

「お兄ちゃんって話すの、もう限界だから、やめていい?」

だったら最初からしないで欲しかった。
僕は心からそう思った。

ナースが言う。

「先生、普通に話すんですか?」

「えぇ。もう釣れたから、いいでしょ?」

釣れた、て。

「い、いや僕、もう、帰りま…」

僕はそう言いながら、ドアに向かって回れ右をする。
そして、ノブに手を掛けた瞬間、こんな声が響いた。

「本当に、いいの?」

「え?」

「お兄ちゃんとか妹とかなんて、キッカケに過ぎない。
大切なのは、あなたが私のこの診療室に訪れたという事実。
そしてそのあなたが、ストレスを抱えているということ」

「………!」

彼女の言葉に、僕の動きが止まる。

確かに僕は、ストレスを抱えていた。
それは間違ってない。

「で、でも…!」

そう言おうとした瞬間、彼女の質問が、僕の心に飛び込んできた。

 

「あなたが朝に起きるのは、何のため?」

理由。
僕が起きる、理由。

仕事は退屈で、疲れるだけだ。
恋人もいない。趣味もない。

起きることほど、苦痛なことはない。

 

いったい僕は、何のために、起きるんだろう。
何を思い描いて、夜に眠るんだろう。

 

「あなたのやりたいことは、何なの?」

たたみかけられる質問に、僕は言葉を失う。

僕の、やりたいこと。

繰り返す日々の中で、いつのまにか忘れてしまった気持ち。
どこかに失ってしまった夢。

「………」

僕はそれに、明確な答えを出すことができない。

   

すると、彼女は言った。

「でも、そんな毎日を、私が変えてあげられる、と言ったら?」

「……!!」

彼女の言葉は真剣で、さっきまでの「お兄ちゃん」と言っていたときの不安さは、カケラもなかった。
その瞳には、何とも言えない真実味がある。

「ただ、私の話を、聞きなさい。
そうすれば、あなたの明日を、大きく変えてあげるわ」

「………」

僕は思わずノブにかけた指を下ろし、彼女の方に向き直った。

「………き、聞かせてください」

 

この決断は、正しかったのだろうか。

迷いに満ちた僕の眼差しを見ると、彼女は静かに微笑みながら、口を開いた。

「じゃあ、そこに座って」

 

これから、何が始まるのか。

彼女の言葉によって、僕はいったい、どう変わるのか。

不安だ。恐い。
でも僕の心の中に、少しだけワクワクする気持ちが生まれている。

それだけは、確かだった。

 

そう。

彼女の言葉を待つまでもなく、僕は予感した。

この決断は、決して間違っていなかった、と。

「…あ、でも、その前に」

「…え?」

「まずはリボン、取っていい?」

早く、取ってください。

僕は自分の決断が正しいのかどうか、微妙に迷い始めた。

 

これは、その夜に、僕と「先生」のあいだに起こった物語である。


………という感じで、物語が始まっていきます。

 

なんだか、まったく興味のない方には微妙な話で本当に申し訳ありません。
書き上げてしまったので、まぁ、どうせなら…という感じで。

明日からまた通常更新に戻ります。 

それはそれとして、最近読者さんにお教えいただいた、「ネコを捕まえるゲーム」。

ヒマつぶしに。

ネコを囲ったら勝ちです。2回に1回しか勝てません。
たまに勝ちが決定すると、嬉しくてこんなことをします。

自分の中のサディスティックな一面をちょっぴり感じる瞬間です。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。







2007/10/24 by ゆうきゆう イヌの日常 |

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13 コメントです。

  1. たけ さんのコメント 

    おもしろいです!
    続きがめっちゃ気になります☆

  2. 大学受験生 さんのコメント 

    もう更新されてる@@;
    メールまってるです、、

  3. さんのコメント 

    2回に1回も勝てることに嫉妬

  4. ZEPHYR さんのコメント 

    おもしろかったです。
    でも脳内で
    僕=ユウ先生
    『先生』と言われた女性=マヤ先生
    に変換されるのはなぜでしょうか?
    ま、まさか洗脳!?

  5. wasabi さんのコメント 

    ふと、「株」を「妹」と読んでしまった自分が切ないです…

  6. あっち。 さんのコメント 

    >>4 
    私もですー!(笑)

    ネコのゲーム>マイクロソフトについてくるインクなんとかというゲームを思い出しました。似てますね。

  7. バラバラ さんのコメント 

    「先生」は、まやせんせいですね・・・・だんだん日常に近づくような気がしています。
    やはり潜在的に、言い切る女性にかしずいていく・・・
    う?ん
    ゆう先生にお会いしたいで?す。

  8. たけ さんのコメント 

    ネコのゲームにハマってしまいました。
    私は勝ちが決まりそうになったら、迷路をつくって、
    最後のひとマスでネコを閉じ込めたりします。
    これってS性爆発ですか?

  9. ゲスト さんのコメント 

    初トライであっさり勝てましたが……

  10.   さんのコメント 

    猫を囲うゲームヤバいですねw
    単純なだけにハマりますw

    王手は追う手と申しますか、追いかけるとほとんど無理ですね
    将棋や囲碁などがお得意な方は強いんじゃないでしょうか

  11. ゲスト さんのコメント 

    このゲームって計算し尽くしてできたら、毎回勝てるものなのでしょうか?

    どうやっても勝てない手の時ないですか?
    最初の配置によりけりですよね?

  12. Castol さんのコメント 

    猫のゲームは、どこに追い込むかを読めば5割以上勝てます。
    囲碁もやったこともあるのですが、サッカーやバスケにも似てると思いました。

  13. さんのコメント 

    お初・・・かもしれません。ネコゲーム、始めてから5分程は負け続けましたが、遠くも指定出来ることがわかってからは勝率9割以上(多分)になりました。ネコの選択肢をなるべく1にすることが肝要ですね。濃くなっているマス(選ぶマス)同士の間をなるべく1マスにして、ネコが近付いたら一手で塞げるようにしておくと大抵の配置で勝てます。
    ちなみに囲碁ならアマ二段くらいでサッカー経験もあります。

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